「舞台裏の仲間たち」 27~29
エプロンを取り外し、小さく折りたたみながら
レイコが道案内の先に立って歩きます。
「私が来ることを、どうしてご存知なのですか
もしかしたら、もう誰かが同じ用件で訪ねてきたとか・・・
もしや、すでに茜が。」
「旅行からお帰りになられた
たぶん、その夜のことだった思います、
時絵さんのスナックに、突然呼び出されてしまいました。
いえ、茜さんからではなく時絵ママさんからです。
わたしは、劇団のファンで、
特に時絵さんとちずるさんの大ファンです。
もう喜び勇んで、呑みに伺いました。
茜さんにもお会いしましたが、とてもチャーミングな方ですね。
あ・・・でもこれは全部内緒のお話です。
どうぞ、聞かなかったことにしてください。」
「はぁ・・・
でも病院へ行くというのは、どういうわけでしょう?。」
「あいにくと、順平は入院中です。
病名は椎間板ヘルニアで、全治一カ月という診断です。
とりあえず、入院をして一週間が経ちました。
今のところベッドにくくりつけられたままで、
まったく身動きなどはとれませんが、
それ以外はいたって健康そのものです。
あいつったら、一日に三度は顔を出さないと、とてもうるさいんです。
どうせ、そんなことになるだろうと思い、一番近い病院に
入院をさせました。」
なるほど・・・歩き始めて5分とたたないうちに
もう、その入院をしているという整形外科専門の病院へ着いてしまいます。
階段を上がるとすぐに病室があり、その順平は4人部屋の
窓際のベッドで横たわっていました。
首から上はしっかりと固定されていて、両方の足首にはベルトが巻かれ、
牽引用の重りがベッドから垂れ下がっています。
作品名:「舞台裏の仲間たち」 27~29 作家名:落合順平