マルケサスの砂 12月25日編集
コンサート
あれはコンサートの日
入場を待って並んでいると、目の前に君を見つけた
手を出すと触れられ距離
「さよなら」そういったあの日のままの君
隣にかわいい子供
無邪気にはしゃぐその子に君が微笑む
その笑顔も昔のまま
「元気だった?」
それさえ声をかけられない掛けてはいけない自分がいる
あれは君が23のときだった
一緒に海へ行ったね、覚えているだろうか
はじめてのキス
そう、でももう過ぎたこと
それは僕の胸の中だけの思い出
涙で消えた僕の記憶
開場になり、人ごみに紛れ君は僕から遠ざかる
まるで神様が一目だけ僕の願いをかなえてくれたよう
手を伸ばせば触れられる君、あれは幻だったのだろうか。
作品名:マルケサスの砂 12月25日編集 作家名:のすひろ