小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

マルケサスの砂 12月25日編集

INDEX|2ページ/3ページ|

次のページ前のページ
 

覚えているかい、二人で行ったあの無人島の真っ白い砂浜を
誰もいない砂浜は波の音だけが手を繋いだ二人を見守ってくれた
君は遥か沖に湧き上る積乱雲を見て
こんなに真っ白な入道雲は始めてと目を輝かせていたね。

そこで僕が拾った椰子の実をヨットのデッキに転がしていると
「まるで私たちみたい」と少し悲しそうな顔でそれを愛おしそうに抱いた
「ああ、確かに僕たちみたいだ。僕が拾って君が実をつけるんだ」僕は笑って答えたが
君はにこっと笑ったまま、何も答えず暫くそれを見つめていた。

覚えているかい、あの日君が身につけていた青いビキニを
これだけじゃ恥ずかしいと誰も見ていないのに君は島の伝統柄のパレオを纏っていた。
僕がビキニだけでも素敵だよといっても、それをのけることは無く
とったのは僕で、二人が愛し合った時だったね。

覚えているかい、セール一杯に貿易風を受けて走るあのヨット(ふね)を
日焼けが嫌だといつもオーニングの下に隠れ、サングラスをかけて美味しそうに冷えたビールを飲んで「あなたも一口飲む」と差し出してくれたことを

あれからまもなくのことだった
「次生まれ変わったら、必ず私を見つけて。私もあなたを見つけるから」
そういって君は僕の元を去り、半年後あの日見た雲のような真っ白いドレスとベールに包まれ教会に立っていた。

君は幸せでいるだろうか?
今僕は一人マルケサスを訪れている。
君と一緒に来るはずだった、楽園の島マルケサスに
砂浜を歩くとき、思い出す
君と愛し合ったあの日のことを