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つだみつぐ
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novelistID. 35940
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男性支配

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明日香さん、しばらくメールできないとのこと、事情はわかりませんが、さびしく思います。

以前のメールで、あなたは、
>女は、一度に一人しか愛せないの。男と違うのよ。
と書いてきたことがあったね。
実はね、わたしもずっとそう信じてきたの。婚外性交渉が男性に多くて、女性に少ないのは、そうした、生得的な差によるものだと。
ヘレン・フィッシャーによると、アメリカでの調査では、既婚の男女とも約25%が婚外性交渉をしている。婚姻の全期間では、男女とも80%近くが、その経験がある(註)。男女差はほとんどない。彼女は、日本・中国・インドのヒンズー教徒などにおいては、「不倫という言葉は女性の悪徳を意味する」として、これらの国の「性の二重基準」について詳しく述べている(「愛はなぜ終わるのか」)。女性の婚外性交渉はすべて禁じられ、男性については、既婚女性との婚外性交渉のみが禁じられている、と。
そうなのだ、禁じられているのだ。生得的なものではない。生得的なものだったら、文化による違いがあるはずがない。ヘレン・フィッシャーによれば、婚外性交渉は、対で暮らすほ乳動物に普遍的に見られる、古い起源を持った現象だ、ということだ。
この国における男女の差は、この国の性規範が二重基準になっている、つまり、男と女で違う基準が適用されている、そのせいなのだ。
この国では、性規範は、女性に対する男性支配の道具になっているのだ。
「貞操」は女性にのみ、求められているのだ。

ああ、言い方がつい、難しくなった。簡単に言おう、あなたは、男たちにだまされていて、それを信じ込んでいるのです。女は生まれつき、そういうものなのだと。生涯、一人の男に尽くすものなのだと。

作品名:男性支配 作家名:つだみつぐ