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「舞台裏の仲間たち」 25~26

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 憧れのロダンにも師事して、彫刻の腕に磨きをかけ、
「女の胴」、「坑夫」などの秀作を次々に生み出していきます。

 「此処から先の、中村堂のサロンのお話はあまりにも
 有名ですので、あとで文献などを参考に
 ぜひ、研究をしてください。
 最後の方をは省略をしてしまいましたが、
 私が、あなたにお伝えしたかったのは、純粋に芸術を愛した
 黒光とひたむきな碌山の出会いまでです。
 どうですか、
 あなたの探している何かの手がかりなどは
 出てきましたか?。」


 「あのう、頭の中を整理しているところです・・・
 あまりにも、インパクトが強すぎて。」


 「結論を急ぐ必要はありません。
 自分の頭で考えて、納得できるものがひとつでもあれば、
 私もこうしてお話をした甲斐がありますが、
 なにもなくても、それはそれでいいでしょう・・・
 遠い明治のお話なのですから。
 でも、はっきりしていることは、ただひとつです。
 碌山は、安曇野と言う風土があってこそ生まれてきた芸術家です。
 黒光と、碌山の出会いも、
 アルプス山脈と言う恵まれた絶景が生んだ、浪漫に溢れた奇蹟です。
 茜さん、私たちの出会いも、
 わさび田湧水群という、雄大な自然の恵みのお陰です。
 あなたたちの演劇と同じです。
 物語の展開のために、常に必要となるのがそれにふさわしい
 舞台装置や風景なのです。
 碌山と黒光は、安曇野という自然が産んだ
 愛と悲しみの物語です。
 「女」と言う作品は、まさにその象徴です・・・
 というところで、私の長い黒光のお話は、
 ここで終わりです。」


 それだけいうと、おばあちゃんは、
注ぎ置かれていたグラスを手に取ると、乾杯とほほ笑んでから
美味しそうに呑み干してしまいました。