「舞台裏の仲間たち」 22~24
「やはり、そうでしたか。
女性へのいたわり方に、
なにか・・・遠慮のようなものを感じましたもので
ふと、そんな失礼を申し上げてしまいました。」
「交際中と結婚後では
見る人にとって、変化が現れてくるのですか?
どんな風に変わるのでしょうか、
大変に興味のある話です。」
「いえいえ、たぶん
外見上は、何も変わりはありません。
夫婦となり、肌を合わせることによって「情」というものが生まれ、
それが長い時間をかけて、男と女の間で熟成を重ねます。
まぁ、そんな気配のようなものが、自然とお互いの身に着いてくるようです。
恋人たちの間では、まだそういう空気も
匂いも雰囲気さえも生まれては来ないと思います。
たぶん、長く情を交わし合った夫婦特有のものでしょう。」
「はあ・・・
経験はありませんが、
なんとなく、わかるような気がします。」
「素直な方です。
そういえば、碌山美術館は初めてではありませんね。
何度かお見えになったような気配でしたから。
慣れた足取りで、中庭の散策なども楽しんでおいででしたし、
何度目ですか?」
「今日で、3度目です。
それにしても、鋭いですね・・・
全部、お見通しの通りです、、おそれいりました。」
作品名:「舞台裏の仲間たち」 22~24 作家名:落合順平