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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
novelistID. 43462
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After Tragedy1~プロローグ~

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「ありがとう。でも、俺は守らなくて大丈夫…。」
僕は、僕の言葉がシー兄ちゃんの励ましにならなかったのだと感じ、何とも言えない気持ちになった。
「俺は充分…レーニスに守られていたと思うから…。」
 何だかそれは、シー兄ちゃんが自分自身に言い聞かせているように見えた。シー兄ちゃんは遠くを見つめている。

(僕がいても力になれない…。)

僕はきっと寂しそうな顔をしていたに違いない。シー兄ちゃんは僕を見るとハッとしたのか付け加えた。

「心配すんなよ、大丈夫。お前は俺がなんとかするから。」
 僕は少し泣きそうになる。それを見るとシー兄ちゃんは躊躇いつつも僕を抱きしめて言った。
「一人じゃないから…。」
「うん…。」
 僕は、シー兄ちゃんの力にはなれなかったけど、シー兄ちゃんが一緒にいてくれることを約束してくれたので、安心して涙を流した。
「ユクス、幸せになって、レーニスを安心させてあげような。」
 シー兄ちゃんは一度身体を離し、泣いている僕の顔を見ると、もう一度遠慮がちに抱きしめてくれた。
「うん。もう泣かない!」
 僕は、シー兄ちゃんの顔を見上げると何とか笑った。シー兄ちゃんは、それを確認すると努めて明るく言った。
「じゃあ、俺は神殿に行ってくるから、ユクスはライのところで服を買って来てくれないか?手始めに喪服でいるのを何とかしないとな。2人分宜しくな!」
シー兄ちゃんは、僕に金貨を手渡してくれた。
「うん、分かった!」
 僕はすっかり安心をしたので、ライの家に向かってしまった。向かわなければ良かった。