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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「許されぬ想い」 第十話

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「伸子・・・おまえと離れる前の俺だったら絶対に許すことが出来なかっただろう。だが今は違う。
辛い思いをさせた天罰だろう、そう思うことにして聞いた事は忘れよう。お前も俺の悪い部分は忘れてやり直してくれ。お互いがそれで相殺になる」

「あなた・・・あなたは悪くは無いのよ。本当に魔が差してしまったの、ゴメンなさい」

「いや、寂しい思いをさせたことは俺のせいだ。気持ちだけでも離さずにつかまえていればこんなことにならずに済んだだろう。許して欲しいのは俺のほうだ」

「二度としません・・・許して・・・下さい」

「いいから、そんな卑屈になるな。それよりお前からそう聞かされてこの事件にはなんか引っかかるものを感じたんだ」

「引っかかるもの?」

「ああ、パチンコ店でお前を下山の妻だと解って影山は誘ってきたのだとすれば・・・数人の男に車の中へ連れ込まれたのは偶然じゃないぞ。
あんな早い時間にお前を偶然襲うなんて考えられない。同級生と知りながらだ。影山と何らかのつながりがあるとしたら・・・最後まで犯すつもりもそして殺すことなど決してなかったんじゃない無いのかな。ぎりぎりのところで誠人の車を見つけて慌てた振りをして逃げたんだとしたら、タイミングはばっちりと合うぞ」

「あなた・・・そのようなこと・・・信じられません」

「なんか証明出来る方法が無いかな・・・」

「証明?誠人さんと同級生がつながっているという証拠のこと?」

「それは難しいだろうから、人間関係を調べて接点があるかどうか確かめたらどうだろう?」

「そうね。クラスメートで連絡の取れる人に樋口くんのことを聞いてみるわ。あなたご自宅はご存知なんでしょう?奥様に聞かれたらどうなの?」

伸子を襲った同級生は樋口と言う苗字だった。

「それも考えたんだが・・・妻に乱暴したのはご主人なんですよ、とは聞き出せないだろう。はっきりと証拠を見せられるわけでもないし、まして本人が不在となれば聞かされた方は何がなんだか解らなくなって口を閉ざしてしまうと思ったんだ」

「そうかも知れないわね。信じられないような話ですから」

「だろう?とにかく樋口本人を探し出して会って話すしか方法は無いよ。時間がかかるかも知れないけど・・・こつこつやろう」