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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「許されぬ想い」 第十話

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「簡単に詫びるようなやつじゃないよ、きっと。居場所だってもう解らなくなっているかも知れないし。伸子が忘れられるんだったら何もしないほうが良いと思うけど」

「やけに消極的なのね・・・何故?」

「何故?お前をこれ以上傷つけたくないって思うからだよ」

「夫は何があっても味方になるから思うようにしなさいと言ってくれたわ・・・あなたとは違うの・・・私は夫から裁判を勧められたけど傷つきたくないから断ったの。そうしたらせめて相手に謝罪だけはさせたいとあなたに証人として話をしたいと言ってくれたのよ。
わかる?私が本当に可哀そうと思ってくれているのなら協力して欲しい。あなたとの事知らない夫だけど・・・話しても許してくれるわきっと、今はっきりそう言えるから」

「ふん、いい気なもんだ。俺の気持ちなんか考えもしないで、いい旦那ってか?バカにすんなよ・・・遊ばれた身にもなってくれよ。
最低だなお前は、俺はもっと最低だけど、信じられない・・・」

「どうしてもイヤならそれでいいわ。夫には断られたと言うから。じゃあこれで話すことも無くなったから帰ります。ここの勘定は呼び出した私が払います」

「いいよ、金ぐらいは払うよ」

「いいえ、けじめだから払わせて」

伸子の意思は強かった。

目の前の誠人はあれほど逞しく優しく感じていた人とは別人のように今は感じていた。
不倫相手とはこういう関係なんだろうといまさらに悔やんでいた。