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山本ペチカ
山本ペチカ
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更新日時:2012-11-29 04:21:44
投稿日時:2012-11-28 02:57:32

僕とメトロとお稲荷さま

作者: 山本ペチカ

カテゴリー :現代ファンタジー小説
総ページ数:8ページ [完結]
公開設定:公開  

読者数:0/day 12/month 1751/total

ブックマーク数: -
いい作品!評価数:2 users

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著者の作品紹介

夏休み、僕は地元の島根から東京へ出てきた。
 東京に進学している兄貴が半年前から音信不通になってしまったからだ。兄貴の無事を確かめるよう、父からの命令だ。しょうがない。何せここで言うことを聞かないと、僕だけ地元進学ということになりかねない。
 初めての東京。初めての地下鉄。僕は見事に迷ってしまった。
 大体地下は苦手なんだ。景色の見えないところを走っているなんて、閉塞感と圧迫感で窒息してしまう。それに本来、地下は人間がいていい領域じゃないだろ。
 いつの間にか知らない町へ降りたってしまった僕。とりあえずコンビニに立ちよって、久しぶりで食べたくなった稲荷寿司を買ってみる。
 どこかゆっくり腰を下ろして食べられる場所はないかと辺りを見渡してみると、僕は雑居ビル街のド真ん中に建つ稲荷神社を発見した。人が住むべき場所じゃないそこは、どこか僕の苦手なメトロに似ている。
 その時、一陣の風に僕の命綱である地下鉄マップが飛ばされてしまった! 咄嗟に追って道路へと飛び出した僕は、車に撥ねられしまった。
 僕は、死んだ……のか?
 神社の前で呆然としていると、狐面を被った不思議な双子の子供たちに話しかけられる。彼らは稲荷神社の御使い──神(しん)使(し)の狐だった。
 僕は二人から、この神社が目には視えない世界を走行する《異界メトロ》の入口だと知らされる。
もしかして〝過去へ遡る《異界メトロ》〟に乗れば、死んでしまった過去をなかった事に出来るんじゃないか?
とは言っても双子の狐は天邪鬼(あまのじゃく)。全然親身になんてなってくれやしない。そこへたまたま現れた九十九神のアドバイスに従い、双子を稲荷寿司で手なずけ、何とか《異界メトロ》に乗せてもらうことに成功する。また地下鉄か。だけど今度こそ僕は迷わない。五感を総動員して、降りるべき地点を感じ取る。
今まさに車に引かれようとしている自分を連れ戻す。兄貴とも再会できた。
けれど、僕には記憶がなくなっていた。どうして助かったのか、そもそもなんで道路になんか飛び出したのかすらも……。
そうして稲荷神社を離れようとした僕の耳に、風にのって嗤い声が聞こえてくる。初めて聞くはずなのに、その声はどこか懐かしかった。

感想コメント (3)

ただいま読了いたしました。 異界メトロとはこれまた素晴らしいセンスをお持ちです。 神社はあっちとこっちの境目だから……とか思わず「なるほど!」と言いたくなる場面の連続で した。 感服でございます。 | 逢坂愛発 | 2012-12-13 13:37:34

異界とか付喪神とか、すごく素敵な世界観です! | 狂言巡 | 2012-11-28 12:50:16

魅力的な言葉を紡ぐのはやはりお上手ですね。私も鳥居と電車の組み合わせのアイディアを持っているので興味深く拝読しました。面白かったです。 | 退会ユーザー | 2012-11-28 04:45:15

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