ツン彼とデレ私 (出会い編)
<< 始まりはある雨の日のことだった。。 >>
☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆
あの日・・
あいつとあった日は、ちょうどこんな小雨が降る日だったな。
仕事を終え家に帰る道で、しとしと降る雨に打たれながら俺はあの日のことを思い出していた。
自分で選んだ好きでやっている仕事だから、どんなに大変でも苦にはならないが、
仕事場と家との往復ばかりになる生活が続くと、少々羽も伸ばしたくなる。
特に、少し慣れて来た頃にはその想いが強くなっていた。
気ままに・・ぶらりとそぞろ歩きでも!
そうだ、今日は気になっていた下町あたりを歩いてみようか?
そんな気持ちで入った、初めて入る店だった。
きどった店ではなく、普段着で皆が気ままに飲んでいるカウンターメインの居酒屋。
どちらかといえば・・おやじがホッとしてくつろいでるような店だ。
こんな店もたまには面白い!
ちょうど奥を見るとふたつほど空いているのが見えたのでそこに向かってみると、
奥の席は人はいないものの、まだ飲みかけの酒が置いてあった。
「あれ?」
するとお店の人がおしぼりを出しながら
「あ、すいません。そこはまだ人がいるんで二つ目に座ってくれますか?」
すまなそうに、ペコリと頭を下げられ
「いいですよ・・」
と言って、俺は安そうな丸椅子に腰をかけた。
「それじゃ、とりあえず・・ビールで。」
おきまりのセリフ(笑)を吐くと、壁に貼ってあるメニューの札を目で追う。
「ふ~ん、こんな店にしちゃ、意外に凝ってるモンも出すんだ。面白いな。」
と独り言を言ってると、となりに人の気配がした。
ばたん!!
「あれ・・?」
奥の空いている席に顔を向けると、空いていた席に人がいる。
しかもカウンターに思い切り顔から倒れこんだようだ。
「おい、大丈夫かよ・・」
まずい、嫌な予感がする。
とりあえずビールは一杯だけ飲んでここは出るとしよう。
俺は思った。
見るともなしに、なんとなくそいつの気配をうかがう俺。
ーーーええ、女か?
こんなところに一人で来て、しかもかなり飲んで泥酔!?
いったいなんなんだこの女は
「はい、おまたせしました♪」
「お、待ってました♪ありがとう~。」
お待ちかねの愛しのビール♪ちゃん
「乾杯~」
いつものように一人、エアー乾杯(笑)でグラスを口に・・
と・・
「ん?」
ふと、隣の女を見ると
さっきのままの形で微動だにしていない。
「・・まさか」
まさか、息をしてないとかって言わないよなぁ・・(汗)
「・・おい」
「・・・。」
小さく声をかけてみたが返事がない。
俺の声が聞こえなかったか、それとも・・
おい、ヤバいだろ!まさか・・
俺は少し顔をその女に近づけて、抑えた声で話しかけてみた。
「もし・・もしもし?も・・」
やはり答えがないので、ますます気になってしまい
手でその女の肩を軽く叩いた。
だが、ぴくりともしない・・
う、うわ~
マジかよっ!
慌てる俺。
あわわわわ・・
わ!
なんだ?どうするんだ!?こういうとき、俺。
ど、どうすればっ・・
「す・・、すいません。あっ・・あのっ!」
俺は空回りする頭をなんとか落ち着かせようとしながら
お店に人に声をかけた。
「は~い!ご注文ですか?」
混んでいるせいか、こちらの事情がまったく分かっていない
店員の能天気な返事がなんとも苛立たしい。
「注文・・じゃなくて」
「え?」
俺のこの緊張した戸惑い顔を見て、店員もやっと事情を察してくれたらしい。
「あ、あの・・どうかしましたか?」
店員の顔にも緊張が感じられる。
「こ、この人が・・」
う、なんて説明したらいいんだ。
その時だった。
「お兄さ~んっ!!同じのもう一杯、頂戴っ。」
ガバっと身体を起こすなり、グラスをぐっとつかんで持ち上げ大声で女が言った・・
「あ、生きてた。」
俺は安堵したと同時に身体の力が抜けた。
人を心配させておいて、まったくいい気なものだ。
世にもご機嫌そうな顔でニコニコと笑っていやがる。
「・・ったく、人騒がせな女め。」
思わず腹が立ってそう口にしてしまった俺に、その女はクルリと顔をこちらに向けた。
やべぇ・・目が完全に据わってるぞ。
「・・・。」
両目を見開いて、じっとこちらを見て黙っているのが
なんとも不気味、しかも何ともいえない迫力。
「あ、あの・・」
「・・・・。」
女は返事の代わりに、無言のまま顔をグイっと俺に近づける。
おい、何する気だ?
俺の唯一の息抜き、今日一番の楽しみにしていた瞬間が
なんとも最悪な時間へと変わっていく予感。
ああ神様・・
「あら・・・いい男。」
「へっ・・?(・。・)」
俺は予想外の言葉に拍子抜けして椅子からずり落ちそうになった。
とっとにかく、こいつは無事だったんだから
俺はこのビールを飲んでとっとと店を出よう!
俺はおもむろに女から顔をそむけるとビールを飲み始めた。
そこへ・・
「はい、お姉さん、お待ちっ」
ゴトっ・・
おいおい、この店はこの状態の女にまだ酒を出すのかよ・・?
つい気になり、女を見ると
グラスにすぐ手をのばし、すぐさま勢いよく飲みだした。
おい、いくらなんでも・・それは!
「おい、ちょっと待てよ。」
「あ・・!」
バシャリ・・
最悪!飲むのを止めたはずみで女のグラスから酒がこぼれ、
まだほとんど飲んでいなかった酒が全部、彼女にふりかかってしまった。
「うっわぁ~! ご、ごめん・・。」
「う・・・。」
うわ、なんてこった。今日は最悪!
ええ?これ、どうするよ?俺・・
「わ、悪い・・。わざとじゃ・・ないんだ。あの・・これは」
「う・・うっ・・」
う、なんかヤバ! すごいヤバい感が強くなってきたぞ。
「う・・うわ~ぁぁん!!」
え、泣く?泣くの??
「お、おい・・お酒がかかったからって
何も泣かないでも・・てか、泣くなよぉ~!」
慌てる俺を完全においてけぼりにして、激しく泣く女。
なんとかしてくれ・・
「あ・・、お客さん?」
「へっ・・」
店員の目が俺を完全に犯人扱いしているのが分かる。
やばい、完全にアウェー。
え、俺が泣かした?
何か俺悪いことしたか?
(酒、ぶちまけちゃったけどな・・)
「ごめん、あの・・まず、拭かなくちゃ・・!
すいません、こぼしてしまったんで何か拭くのを下さ~い。」
なんで?この俺がこんなに女の世話を焼かないといけないんだ!
と思いながらもどうすることも出来ない。
女は完全に酔っぱらっちまってるし
しょうがねぇな・・
拭き拭き・・っと
「はい、これで・・大丈夫? でもないか・・
ねぇ君、もうすっかり酔ってるし
もう早く帰って着替えなよ。」
「帰・・る?って・・・。」
女はそういったとたんに、また激しく泣き始めてしまった。
おい泣き上戸かよ・・ったく始末に負えない。
めんどくさっ
呪われているな今日の俺。
そんなこんなで、そのあとまだまだひと騒動、ふた騒動?あって
さんざん迷惑をかけられたあげく
☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆
あの日・・
あいつとあった日は、ちょうどこんな小雨が降る日だったな。
仕事を終え家に帰る道で、しとしと降る雨に打たれながら俺はあの日のことを思い出していた。
自分で選んだ好きでやっている仕事だから、どんなに大変でも苦にはならないが、
仕事場と家との往復ばかりになる生活が続くと、少々羽も伸ばしたくなる。
特に、少し慣れて来た頃にはその想いが強くなっていた。
気ままに・・ぶらりとそぞろ歩きでも!
そうだ、今日は気になっていた下町あたりを歩いてみようか?
そんな気持ちで入った、初めて入る店だった。
きどった店ではなく、普段着で皆が気ままに飲んでいるカウンターメインの居酒屋。
どちらかといえば・・おやじがホッとしてくつろいでるような店だ。
こんな店もたまには面白い!
ちょうど奥を見るとふたつほど空いているのが見えたのでそこに向かってみると、
奥の席は人はいないものの、まだ飲みかけの酒が置いてあった。
「あれ?」
するとお店の人がおしぼりを出しながら
「あ、すいません。そこはまだ人がいるんで二つ目に座ってくれますか?」
すまなそうに、ペコリと頭を下げられ
「いいですよ・・」
と言って、俺は安そうな丸椅子に腰をかけた。
「それじゃ、とりあえず・・ビールで。」
おきまりのセリフ(笑)を吐くと、壁に貼ってあるメニューの札を目で追う。
「ふ~ん、こんな店にしちゃ、意外に凝ってるモンも出すんだ。面白いな。」
と独り言を言ってると、となりに人の気配がした。
ばたん!!
「あれ・・?」
奥の空いている席に顔を向けると、空いていた席に人がいる。
しかもカウンターに思い切り顔から倒れこんだようだ。
「おい、大丈夫かよ・・」
まずい、嫌な予感がする。
とりあえずビールは一杯だけ飲んでここは出るとしよう。
俺は思った。
見るともなしに、なんとなくそいつの気配をうかがう俺。
ーーーええ、女か?
こんなところに一人で来て、しかもかなり飲んで泥酔!?
いったいなんなんだこの女は
「はい、おまたせしました♪」
「お、待ってました♪ありがとう~。」
お待ちかねの愛しのビール♪ちゃん
「乾杯~」
いつものように一人、エアー乾杯(笑)でグラスを口に・・
と・・
「ん?」
ふと、隣の女を見ると
さっきのままの形で微動だにしていない。
「・・まさか」
まさか、息をしてないとかって言わないよなぁ・・(汗)
「・・おい」
「・・・。」
小さく声をかけてみたが返事がない。
俺の声が聞こえなかったか、それとも・・
おい、ヤバいだろ!まさか・・
俺は少し顔をその女に近づけて、抑えた声で話しかけてみた。
「もし・・もしもし?も・・」
やはり答えがないので、ますます気になってしまい
手でその女の肩を軽く叩いた。
だが、ぴくりともしない・・
う、うわ~
マジかよっ!
慌てる俺。
あわわわわ・・
わ!
なんだ?どうするんだ!?こういうとき、俺。
ど、どうすればっ・・
「す・・、すいません。あっ・・あのっ!」
俺は空回りする頭をなんとか落ち着かせようとしながら
お店に人に声をかけた。
「は~い!ご注文ですか?」
混んでいるせいか、こちらの事情がまったく分かっていない
店員の能天気な返事がなんとも苛立たしい。
「注文・・じゃなくて」
「え?」
俺のこの緊張した戸惑い顔を見て、店員もやっと事情を察してくれたらしい。
「あ、あの・・どうかしましたか?」
店員の顔にも緊張が感じられる。
「こ、この人が・・」
う、なんて説明したらいいんだ。
その時だった。
「お兄さ~んっ!!同じのもう一杯、頂戴っ。」
ガバっと身体を起こすなり、グラスをぐっとつかんで持ち上げ大声で女が言った・・
「あ、生きてた。」
俺は安堵したと同時に身体の力が抜けた。
人を心配させておいて、まったくいい気なものだ。
世にもご機嫌そうな顔でニコニコと笑っていやがる。
「・・ったく、人騒がせな女め。」
思わず腹が立ってそう口にしてしまった俺に、その女はクルリと顔をこちらに向けた。
やべぇ・・目が完全に据わってるぞ。
「・・・。」
両目を見開いて、じっとこちらを見て黙っているのが
なんとも不気味、しかも何ともいえない迫力。
「あ、あの・・」
「・・・・。」
女は返事の代わりに、無言のまま顔をグイっと俺に近づける。
おい、何する気だ?
俺の唯一の息抜き、今日一番の楽しみにしていた瞬間が
なんとも最悪な時間へと変わっていく予感。
ああ神様・・
「あら・・・いい男。」
「へっ・・?(・。・)」
俺は予想外の言葉に拍子抜けして椅子からずり落ちそうになった。
とっとにかく、こいつは無事だったんだから
俺はこのビールを飲んでとっとと店を出よう!
俺はおもむろに女から顔をそむけるとビールを飲み始めた。
そこへ・・
「はい、お姉さん、お待ちっ」
ゴトっ・・
おいおい、この店はこの状態の女にまだ酒を出すのかよ・・?
つい気になり、女を見ると
グラスにすぐ手をのばし、すぐさま勢いよく飲みだした。
おい、いくらなんでも・・それは!
「おい、ちょっと待てよ。」
「あ・・!」
バシャリ・・
最悪!飲むのを止めたはずみで女のグラスから酒がこぼれ、
まだほとんど飲んでいなかった酒が全部、彼女にふりかかってしまった。
「うっわぁ~! ご、ごめん・・。」
「う・・・。」
うわ、なんてこった。今日は最悪!
ええ?これ、どうするよ?俺・・
「わ、悪い・・。わざとじゃ・・ないんだ。あの・・これは」
「う・・うっ・・」
う、なんかヤバ! すごいヤバい感が強くなってきたぞ。
「う・・うわ~ぁぁん!!」
え、泣く?泣くの??
「お、おい・・お酒がかかったからって
何も泣かないでも・・てか、泣くなよぉ~!」
慌てる俺を完全においてけぼりにして、激しく泣く女。
なんとかしてくれ・・
「あ・・、お客さん?」
「へっ・・」
店員の目が俺を完全に犯人扱いしているのが分かる。
やばい、完全にアウェー。
え、俺が泣かした?
何か俺悪いことしたか?
(酒、ぶちまけちゃったけどな・・)
「ごめん、あの・・まず、拭かなくちゃ・・!
すいません、こぼしてしまったんで何か拭くのを下さ~い。」
なんで?この俺がこんなに女の世話を焼かないといけないんだ!
と思いながらもどうすることも出来ない。
女は完全に酔っぱらっちまってるし
しょうがねぇな・・
拭き拭き・・っと
「はい、これで・・大丈夫? でもないか・・
ねぇ君、もうすっかり酔ってるし
もう早く帰って着替えなよ。」
「帰・・る?って・・・。」
女はそういったとたんに、また激しく泣き始めてしまった。
おい泣き上戸かよ・・ったく始末に負えない。
めんどくさっ
呪われているな今日の俺。
そんなこんなで、そのあとまだまだひと騒動、ふた騒動?あって
さんざん迷惑をかけられたあげく
作品名:ツン彼とデレ私 (出会い編) 作家名:さきかわ このり