おちていく…
川の流れる音だけが未だに、愛子の耳から離れない。
耳を塞げば更に、あの矢田が落ちた忌まわしい音が蘇る。
いつかは忘れてしまう記憶のカケラは、その部分だけを鮮明に映し出し愛子を苦しめた。
それでも愛子は、この苦しみが永遠に続くとしても、それ以上の自由を得たのだ、と思うようにした。
たとえそのやり方が間違っていたとしても、愛子は後悔はしないことを決めた。
勿論、これらか背負っていかなきゃいけない罪と罰は、愛子を苦しめていくだろう。
けれど、何かを引き換えにしなければ、幸せは掴み取ることなんて出来ないのだ。
愛子は、愛より自由を選んだのだから。
だから、後悔しない。
後悔してはいけないのだ―――。