おちていく…
「愛子、早くおいで?」
そう言って、矢田はネクタイを緩めながらソファーに座った。
そして、ドア付近に佇む愛子を見つめた。
会社を出た二人は、そのままホテルに向かった。
「後悔しているのか?イヤだったら帰ってもいいんだぞ」
優しいのか冷たいのか分からない表情で、矢田は佇む愛子の顔を見つめた。
矢田の言葉を聞いて、愛子は少しうろたえた。
後悔……
どうして、そんなこというの?
愛子は、矢田にもっと違う言葉を期待していた。
でも、会社といる時と変わらない表情と言葉で、愛子を不安にさせる。
もっと、甘い言葉を期待していたから。
矢田を見つめる愛子の瞳には、涙が溢れていた。
愛子…?
そう呟き、矢田は佇む愛子のソバに歩み寄り、愛子を優しく抱き締めた。
愛子の心が、ちょっとずつ解けていく。
不安や、緊張から。
そして切ない恋心から…
矢田は愛子の涙を拭うように、幾度となくキスをした。
キスを追うごとに激しさは増し、矢田は愛子の衣服をはぎ取るように脱がせていった。
「愛子…。綺麗だよ」
肌を露にした愛子に、矢田の肌が重なる。
スーツ姿の矢田は、華奢に見えた。
けれど、細く見えた矢田の躰は意外にも筋肉質だった。
愛子は見惚れるように矢田の躰を眺め、指先で優しく撫でおろす。
綺麗だよ…愛子…
矢田はその言葉を繰り返しながら、愛子の乳房に甘噛みする。
そして、それらを器用に舌で転がし愛撫した。
堪らず愛子の唇から甘い吐息が漏れだし、手足を矢田の躰に絡ませた。
後悔しない… たぶん…
声にならない声で、愛子は叫んだ。
後悔しない…絶対…
だから、早く一つになりたい…
「ねぇ…?いれて…?お願い…課長…」
愛撫もそこそこに、矢田は、分かった、と頷き、愛子の脚を持ち上げ挿入する。
イッ…
まだ充分に濡れていない愛子は、痛みが生じて思わず顔を歪ませた。
それに気付いた、矢田は
「痛かったか?」
と動きを止めた。
「だ、大丈夫…よ…」
「そうか…」
愛子の言葉で、矢田がまたゆっくりと腰を動かし始めた。
次第に愛子の体は、痛みから少しずつ快楽へと変わっていった。
愛子の中で矢田が一杯になるたび、愛子は今まで感じたことのない甘美な世界を味わうのだった。