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おちていく…

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1:プロローグ




本日はご多忙中のところを、ご臨席いただきましてありがとうございます。

ただいまより、故 矢田良一殿の葬儀、ならびに告別式を執り行います―――。




午後7時ちょうど、司会者が開式の辞を述べる。

その機械的でいて単調な声で、次々に式次第に沿って淡々と葬儀の進行をしていく。

もう何度も葬儀の司会をしてきたと思われる司会者は、何を思い今その場所に立っているのだろうか。

つい最近まで矢田と付き合っていた青山愛子は、参列者に紛れただただ矢田の遺影と司会者を交互に見つめた。



矢田良一の葬儀は、しめやかに執り行われた。

生前、矢田の人脈だか人望だか分からないが葬儀場は弔問客で溢れかえっていた。

葬儀が終わる頃には、会場に入り切れないほどの弔問客が掛けつけ

廊下にもイスが置かれそこに参列する者も出るのだった。

人生80年生きれば大往生と言われる昨今、矢田は40代半ばという短い人生で幕を閉じた。

花に囲まれた祭壇。

その真ん中には、矢田の写真。

遺影は、そんな短い人生の中でも一番輝いていた頃の矢田が満面な笑みをして笑っていた。



故人を偲び泣いている者。

ただ付き合いで仕方なく来た者。

そして愛子の様に、深い付き合いをした者や、

矢田の行き付けのクラブのママや女の子達。

様々な人種が集まり、矢田を偲ぶ。



最前列には、気丈な面持ちで矢田の妻が子供達と座っていた。

喪主という立場で……



この広くて狭い会場の中、本妻と元愛人が同じ空間に同席することは、

多分、今後二度と無いだろう―――。

そう愛子は思った。




作品名:おちていく… 作家名:ミホ