甜茶no言葉遊びにおいで
【ごぶんの菓子-2】
招待状を貰った人が、屋敷に集まった。
「皆さま、今夜は、はるばるお越しくださり ありがとうごさいます」
フカフカの絨毯が敷き詰められた応接間に客は通された。
そっと覗いた給仕の女は、キッチンでそれを切り分けた。
「ご主人様、お持ち致しました」
「みなさんに本日召し上がって戴きたく、ご用意致しました……?……」
主人は、そのトレイに乗せられた洋菓子を見て、給仕の女を叱った。
「何だ、この均等でない切り方は!」
「申し訳ありません。ホールのケーキを五等分が難しくて……」
「五等分?今日の客人は6人のはず」
主人も改めて5人と気付いた。執事が呼ばれた。
「はい。ご主人様のメモの通り、5通の文を出しました。これがそのメモでございます」
執事は、申し訳なさそうに、その紙片を主人に手渡した。
「あ」
主人は、小声で謝った。
「すまない。間違えたようだ」
「いえ、わたくしも確かめませんでしたので、申し訳ございません」
気を取り直し、主人は客に良い香りのコーヒーと洋菓子でもてなした。
※ 『1は何処だって?ないです。誤文の過失の話』
作品名:甜茶no言葉遊びにおいで 作家名:甜茶