甜茶no言葉遊びにおいで
【さんぱつの恐怖】
「おい、動くんじゃない」
厳つい男は、低めの声でその椅子に座る痩せた男に言った。
「じ、じっとしていますから、痛くしないでください」
すでに痩せた男には、白い布が掛けられている。
その危ないものの先が、痩せた男に向けられている。
「本当に動くなよ。へまをしたらただじゃ済まないからな」
痩せた男は、恐る恐る目を閉じた。
「畜生、こんなんじゃ駄目だ」
厳つい男は、台を叩き、手を震わせている。
シャキィーン!耳に不快ともいえる音が響いた。
「よし、一発目はこんなところか……」
「も、もういいですから……」
そのあと、続けて、厳つい男は、痩せた男に対しそれをつきつけた。
「よし、今日のところは、ここまでだ。このことは誰にも言うなよ。わかったな」
「はい。どうも」
痩せた男から白い布が外された。そしてブラシで掃われた。
「4500円。ありがとうございました」
痩せた男は、カウンターに代金を置き、足早にそこを出て行った。
※ 『不慣れな散髪屋の恐怖の話』
作品名:甜茶no言葉遊びにおいで 作家名:甜茶