Remember me? ~children~ final
Epilogue Memories
ただ、毎日を惰性の様に過ごしていた。
朝早くから別段理由もなく学校へ行き、友達と駄弁り、将来の為になるかも分からない授業を聞いて、また家に帰る。
家に帰れば家事全般。
親父は仕事で週に三度程しか帰って来ない。
まるで日常に色がなかった。
いや、モノクロとでも言うべきだ。
いつの事だっただろうか。
大きくどこまでも広がっている真っ青な空に想いを馳せ、自分が何にでもなれそうな予感に浸っていた頃。
そんな時期が、俺にもあったんだ。
今や高校一年生の秋。
そんな事を考えていられる余裕なんて、ありはしない。
学校からの帰りの電車。
ボックス席に向かう彼女。
気持ち良さそうに寝ていやがる。
日々変わらない日常に飽き飽きして、いざ彼女を作ってはみたが、特に変わり栄えもしなかった。
いや、俺を引っ張ってくれる女の人が、より親しい存在になったとだけと考えれば、かなりの変化にはなるのかな。
それに反して、かつて隣にいた筈の優子の存在は、結局は一時的な関係でしかなかったのだと、あの日に思い知らされた。
小学生の頃の思い出なんて、所詮その程度のものだ。
窓から見える、折り重なったビルの隙間から夕暮れの差す都心の風景。
あの頃の俺に、こんな光景を見せてやりたいよ。
きっと大はしゃぎする筈さ。
それに、隣にいた優子も……。
To be continued in Next episode.
作品名:Remember me? ~children~ final 作家名:レイ