Remember me? ~children~ 3
ちょっと前まで麗太君の事は、ただのクラスメイト程度にしか思っていなかったのに、それが今では……こんなに愛おしいなんて……。
お互いに唇を離した後も、私達は何度かキスを繰り返した。
翌日の朝、私の体調は完全に回復していた。
熱も下がっているみたいだし、ダルくもない。
リビングへ行くと、私とは逆にダルそうにソファに座っている麗太君の姿が目に入った。
「あれ? 麗太君、どうしたの?」
「きっと、優子のが移ったのね」
ママは体温計を用意し、麗太君に差し出した。
彼はそれを受け取ると脇に挟み、またぐったりと背にもたれる。
ああ、なるほど。
原因は昨日のキスか。
そのせいで、菌が麗太君の方へ行ってしまったんだ。
麗太君の事が気掛かりで、学校なんて行く気になれない。
「麗太君、私のせいで……」
俯く私にの頭に、ママはポンッと軽く手を置いた。
「優子。あなたは今日、休んだ方が良いと思うんだけど」
「え?」
「様子見よ。学校へ行って、風邪がぶり返しちゃったらいけないからね」
「それじゃあ……」
ママはニコッと笑い、私の頭を優しく撫でた。
「移したのは優子なんだから、麗太君の側にいてあげなさいよ。まあ、程々にね」
「うん!」
夏休み直前の平日。
私達は、二人揃って学校を欠席した。
麗太君と二人っきりになっても、もう妙な感覚を覚える事はない。
だって、私が麗太君を好きだという気持ちは、私達二人、お互いの中で確定しているのだから。
きっと、これから毎日がもっと楽しくなる。
夏休みだって間近なんだ。
そうだ!
夏休みになったら、麗太君と夏祭りに行こう。
綺麗な花火を二人で見るんだ。
学校のプールだって、夏休みになれば自由に使えるし。
何よりも麗太君と一緒にいれる時間が増える事が、楽しみでしょうがない。
=^_^=
夏休み直前に起きた、ちょっとした一件。
麗太君に裸を見られたり、異常に彼を意識してしまったり、その後にキスをしたり。
私みたいな小学五年生には、少しばかり早かったかもしれないけれど、これが私にとっての初恋だった。
作品名:Remember me? ~children~ 3 作家名:レイ