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推理げえむ 1話~20話

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「田尾さんの言う通りですよ先輩。あぶないなぁ、何なんですか急に?」
「……秋山君。今君、あの犬、死ぬときとても苦しそうだった、と言ったよね。確か、その犬は農薬を口にして、数分で死んだという話だったはずだ。なのに、その犬の死に際を知っているということは、君はその場に居た、つまり犬に農薬を喰わせたのは君ということだ!」
「な、なんだとっ!」
 田尾の顔が驚愕の色に染まる。
「これは、田尾さんと桑野さんの間でトラブルが起こるように仕組まれていた罠だったんですよ! そうだろ秋山君!? いや……君は一体何者だ!」
「………………。くく、くくくくく!」
 秋山が顔を掌で握り潰した。すると、そこに別の男の顔が現れた。
「くはははは! 流石だ、よくぞ見破った! 私こそは、悪の秘密結社、『FUDATSUKI』のメンバーの一人、裏切りのジャックだ! お楽しみ頂けたかな?」
「本物の秋山君はどこだ!」
「無事さ、とりあえずはな。どうだね。心配かね?」
「僕に事件を解かせて、一体何が目的だ!」
「なに、あなたに興味が有るのさ。その鋭い洞察力で、幾つもの事件を解決してきたのだろう? 今回の事件はやや簡単過ぎたかな?」
「メンバーの一人、と言うからには君のような構成員が他にも居るのかっ!?」
「そうさ。正確な規模まではまだ教えられないがね。くくく……怖いかね? 恐ろしいだろ―」
「一体どれくらい前から秋山君と入れ替わっていた!?」
「ええいっ! 一つくらいはこちらの質問にも答えろっ!」
「だから、目的は一体何だ!」
「だから! あなたに興味が有ると言っているだろうもう! あなたの力を試させて貰ったのだよ!」
 裏切りのジャックが高らかに言い放った。
「…………」
 春日の手が小さく震えている。
「……そんなくだらないことのために犬を殺したのか? それに、人まで死んだんだぞ……?」
「おいおい、桑野を殺したのはあくまでもそこに居る田尾だ。それに、犬一匹の命が一体何だと言うのかね?」
「…………許さない!」
 春日の眼が怒りで燃えあがった。春日が身を低くして突進すると、突然上空に黒塗りのヘリコプターが出現した。
「くはははははっ! 今日はこれまで! さらばだ春日君! また会おう!」
 ヘリから降ろされた縄ばしごに裏切りのジャックが掴まる。春日は舞い上がった砂埃に眼をやられ、たたらを踏んだ。
「くそっ! 待てっ裏切りのジャック! 下りて勝負しろ! そして秋山君を返せ! そして僕達に謝罪しろ! それにアジトの場所も教えろ! 後、潔く自首しろ!」
「欲張りかっ! ふっ、まあいい。秋山を助けたければ来るがいい。場所は追ってメールする!」
 はしごにぶら下がったまま、裏切りのジャックは彼方に飛び去った。
「くそう、悪の秘密結社『FUDATSUKI』め! 待っていてくれ秋山君! 僕が必ず助け出す!」
 春日は熱く決意表明をした。青空には秋山の笑顔が浮かび上がり、エンドクレジットやエンディングテーマが流れるなか―

 春日は目が覚めた。