わて犯人
第九話 悲しい真実
「警部…そして不運にもビルにいた人たち…かたきはとりましたよ…。」
ビルの瓦礫の下敷きになって発見された多くの死体の中からプースと名乗った女の死体も発見された。
「だが、被疑者死亡により情報の収集は困難と判断する。」
「ふみゅ、とりあえず持ち物を調べてみよう…ん?これは…」
トムは女のポケットから紙切れのようなものを発見した。
「何か書いてあるぞ。うーん読めない。北極語か。ジョンさんお願いします。」
「理解した。『愛しのプース・ラガリトへ 探偵共にやむなく情報を流した。きっとそのビルにやってくるはずだ。お前は女装して探偵共を迎え撃て。邸宅の鍵は尻穴に隠すなどして絶対に死守するように。―フジモトムより愛を込めて』」
「…どうやら犯人の尻尾を掴んだようですね。多くの善良な人々の犠牲により…」
トムの目から一滴のしずくが流れ落ちたのをジョンは見逃さなかった。
「…トム。俺には涙は流せない。お前の感情を理解してやることもできない。だが、これだけは言える。フジモトムはクズだ。」
「そうですね。まあアイツのこと嫌いだったからちょうどいいや。」
フジモトムからの指令書の通り、プースの尻穴からは鍵が発見された。
「トム。それは今回の事件の重要な証拠だ。絶対に手放すな。」
「わかってますよ。」
「トムはん。プースはんは見つかりましたかえ?」
気づくとトムの背後には熊子が立っていた
「ああん熊子さんじゃないですかぁ~!またあえて嬉しいですぅ~!プースの件ならばっちりですよぉ~。ほら、鍵もゲットしました。」
「あらまぁ綺麗な鍵どすねぇ。ちょっと貸しておくれやす。」
「どうぞどうぞ~」
トムは熊子に鍵を手渡した。
「さんきゅーどす。ほな、さいなら。」
そういうと熊子は海に飛び込んだ。
「あっ!ちょっと熊子さん!…ってアアッ忘れてた!熊子さんはトムの手先だったァー!!」
気づいたころには時既に遅し。熊子はもう見えなくなっていた。
「ホッキョクグマは泳ぎが得意だ。もう間に合わないだろう。」
「すみませんジョンさん。私が不甲斐ないばかりに。」
「気にするな。今はフジモトムの確保が先決だ。」
「ですよね!さっさとフジモをぶっ殺しに行きましょう。」
トムは安堵の表情を浮かべた。
「とはいえ今は情報がない。一旦愛の巣…もとい俺達のアジトに戻ろう。そこにマインもいる。」
「はい」
ジョンたちはバイクにまたがり、アジトへと向かったのだった。