わて犯人
第五話 マインとジョン
「ケイティーはんなんしてまんの?」
トムはうんこをしながら聞いた。
「いやー、冤罪なんかでつかまるわけにはいかねえだろ?留置所のトイレから脱走してきてやったぜ。あーそうそう、下水道逆流してた時にダイソンさん見かけたから連れてきたぞ。」
よく見ると、ケイティに続いてダイソンもトイレから這いずり出てきていた。
「いやはやどうも。ケイティさんのおかげで助かりましたよ。トムさん達が全然助けてくれなかったのはショックでしたけどね。」
「ナハハハ!うんこと仲良く流れてくダイソンさんほんま傑作でしたわ。Youtubeにアップしといたんでまたコメントお願いしますわ。」
「おいおい、無駄話もいいが、おれらにはやらなきゃいけねえことがあるだろ。わかってると思うが」
「そうだな。とりあえず密室の謎を解かないと・・・」
「あっ!!!!」
ダイソンが何かを思い出したようにさけんだ。
「どうしましたのん?」
「ごめんなさい。すっかり忘れてたんですけど、部屋の鍵この前奪われたんですよ」
「おいっ!!お前なんでそない大事なこと忘れてんねん。ライトニングかますぞ」
「まあ落ち着けトム。話を聞こうじゃないか。ダイソンさん。いつ誰に奪われたんですか」
「奪われたのはちょうど五年前の今日。町の将棋大会に出たときでした。
確証はないのですが、おそらく対局相手のプース・ラガリトという男に・・・」
「なんでそいつやと思いまんの?」
「はい。対局中に外で爆発音が聞こえてわたしそれにびっくりしてうんこしたくなってトイレにいったんですよ。かえってきたらかばんの口が開いていて、荒らされてたので多分その時に・・・」
「ふむ。その時に気づいてほしかったところですがしかたないですね。
トム!今すぐその男について調べろ」
「わかりやした。いってきます。」
~0、00001秒後~
「ケイティーはん!あいつとんでもない奴でっせ。」
「どういうことだ。」
「あいつ懸賞金1億ペリカで指名手配されている
凶悪ピンポンダッシュ犯やで」
「なにっ。だがそのほうが話が早い。今すぐ捕まえにいくぞ!
やつの居場所の手がかりは全くないのか?」
「いえ。昨日北極へ飛び立ったという情報を
親友のフジモトムから手に入れたで」
「おっ。家族同然のように思っていると話していたやつか。
よしっ。今すぐ俺たちも北極へいくぞ。」
「了解したで~」
「・・・あれっ?マインとジョンは?」
二人の姿はいつのまにかみえなくなっていた。
その頃マインとジョンは邸宅の寝室で愛を確かめ合っていた。
「んん・・・はぁん・・・ちゅっ・・・ぷはぁ・・・んっ・・・ちゅっ・・・」
「―ねぇ、マイン。」
熱い接吻の最中、ジョンが口を開いた。
「何だい?」
「捜査がまだ途中だったのに何も言わずに出てきちゃって良かったの?確かに二人の時間を大切にしようって約束したけど・・・」
「ああ、そんなの気にすることないよ。寝室を調べてたとか適当に言っておきゃいいのさ。それに犯人の目星は大体ついたしね。ジョン、君も気づいているだろ?」
「あらあら、あなたに隠しごとは出来ないみたいね。」
そう言ってジョンは茶目っぽく笑った。
「何年一緒にいると思ってるんだい?君のことは殆どお見通しさ。でも、まだまだ俺の知らない君がたくさんある。今夜も君の『捜査』開始だ。」
「うふふ、マインったら。」
愛し合う二人は絡み合い、暗闇の中に溶けていった。