わて犯人
最終話 リクルート
「…ふう。危ないところだったでごわすね。」
トム達はビルの裏路地にいた。
「……」
「トムさん、大丈夫でごわすか?」
「あー、もうこんな危ない仕事は嫌だ!俺は転職するぞ!」
「お、奇遇だなトム。俺たちもちょうどそう思っていたところだ。」
「では、おいどんが新しい仕事を紹介するでごわすよ。」
「助かる。」
~一年後~
「ふぅ~、今日もあっちいな~」
「ああ、全くだな。終わったら飲みに行こうぜ。」
そこにはトイレ掃除に精を出す3人の姿があった。
「ブーミンがいい仕事先を紹介してくれて良かったよ。いい友達を持ったな。」
「ええ。」
山田夫妻を殺害した犯人が誰だったのか、フジモトムの野望はどうなったのか、
その後トム達が知ることはなかった。
ただそこには、確かな充足感があった。これからもトム達は便器を磨き続けるのだろう。
便器はトム達の心を映したかのように白い輝きを放っていたのだった…。
~完~