イカ×スルメ
君の好きなとこ
気に入らなかったのは肌の色、感触、臭いだとか、全部、全部。
けれど、それをも越えて僕が君を好きになっちゃった理由って、君には分かるかな?
「マイカさまっ、やめっ…」
「あは、何言ってんの、抵抗するの?僕に?」
「っ…けれど、私とマイカさまはっ…」
「けれど?ふうん?また僕を否定するの?ああ、君は馬鹿だから口で言っても分からないんだよね?そういう時、どうするか知ってる?ねえ、スルメ」
「くッ…ああッ!」
長い手で締め付ける。茶色に絡まる僕の手足。もがく茶色は宙を仰ぐ。僕には触れない、触れられない。だって、君、スルメだもんね?
「こうやって、締め付けるんだ。君の手は駄目だね、巻きつけやしない。でも僕は違う、器用に君の体に巻きついて…締め上げることが出来る。痛みを与えることができる。痛いね?スルメ」
「い…たい、です…」
「苦しいね?」
「は、い…ッ」
「でも君は拒絶することは出来ない。なぜなら僕は高貴だから、生のアオリイカだから、君より地位が高いから。悔しいだろ?こんな年下に、こんな風にッ…されて!」
「ああっ!」
引き裂かれたのはその身。惜しかった、本当は僕が君のその身を引き裂きたかった。
でも、仕方ないよね。ないものねだりなんて、おかしいよね。だから、もっともっと奥深い君を引き裂くの。
「ほら、ねえ、悔しいね?スルメ。でも、僕のこと、羨ましいね?」
誇り、プライド、その心、全部。
みんな引き裂いてあげる。
それでこそ、スルメじゃん?
「っう…らやましいぃ…で、すッ…!」
「あはは!だよねえ」
気に入らなかったのは肌の色、感触、臭いだとか、全部、全部。
けれど、それをも越えて僕が君を好きになっちゃった理由って、君には分かるかな?
その劣等感、好きだよ。