小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

イカ×スルメ

INDEX|10ページ/10ページ|

前のページ
 

夕暮れを見るのが好きだった。夕暮れの後は夜が来た。夜は私たちにとって、危ない。でもその前の赤い海が私は好きだった。いや、もしかしたら、危うさを伴う美しさが好きだったのかもしれない。そのまま朽ちてもいいと、何度も思った。


何度も、思っていた。
久しぶりに浸した塩水は、案外冷たくて、でも、その癖に暖かくなんか感じた。指の先から、ゆっくりと溶けていく感じ。ふやけていく。私は海に帰るのか。


恐れていた水、今は怖くない。
私は海に帰っていく。



それもいイカ。
ふっと笑って、あなたの背を追った。





END










作品名:イカ×スルメ 作家名:笠井藤吾