比べて知って楽しい~ドラマに見る東流・日本と韓国の歴史~
☆2011.11.24☆
吹く風も冷たく、いかにも真冬といった感じになってきました。自然の世界はモノトーン一色ですが、街は色鮮やかなイルミネーションが瞬き、クリスマス前の何とはなしに浮き浮きした雰囲気に包まれていますね。多分、これから十二月に入ってクリスマス直前までくらいが一年でいちばん華やいだ季節なのではないでしょうか?
このブログの〝自己紹介〟にもあるように、私はこれでも(?)物書きと呼ばれることをしています。二年くらいまでは日本の江戸時代を舞台にした時代小説を手がけていましたが、現在は朝鮮王朝時代(韓国)を舞台にした作品を書いています。全く異なるジャンルに飛び込んだそもそものきっかけは、韓流ドラマにハマッたのが高じてしまった―というのが正直なところ。
もちろん私は日本人ですから、日本のドラマも大好きなのですが、韓国のドラマは実によく作り込んであるので、いつしか引き込まれて、その世界にどっぷりと頭まで浸かってしまいます。これはあくまでも私の感想ですが、韓国ドラマって、最初の何回かは割と平坦というか、あまり引き込まれる感じはしません。でも、〝思っていたより、たいしたことないかも〟と失望しかける頃、いきなりドドーンと盛り上がり、後はジェットコースター的にドラマティックに展開してゆきます。とにかく続きが気になって、眼が離せない。逆に言えば、あまりに次々に色んな出来事が起こるので、途中で一回見逃せば、筋が判らなくなってしまう感さえあります。
とにかく視聴者に〝続きが見たい、結末が知りたい〟と思わせる巧みなストーリーの進め方で、物書きのはしくれとしては是非学ばねばならないところでもあるのです。
ところで、このネタを選ぶには少々勇気が必要でした。中高年以上の女性には相変わらず圧倒的なファンを獲得している韓流ドラマではありますが、不特定多数の方々が眼にするブログで、ちょっとオタクっぽいこの話題はどうだろうと自分でも疑問に思ったからです。でも、自分について語るときには、やはり、このネタは外せないと思って書くことにしました。
同じ韓流ドラマ好きといっても、私のように時代劇が好きという方は更に少ないのでは? ホントにちょっとマニアックな話ですよね。でも、もし韓流ドラマをよく見ていて、まだ時代劇は観ていないという方がいたら、騙されたと思って一つだけ見てみて下さい。私のおススメは〝王と私〟。これは、歴史上、悪女だと見なされている国王(成宗王ソンジョンおう)の王妃であった女性を描いた歴史でラマです。名前は尹素花(ユン・ソファ)といい、やはり朝鮮王朝史上、稀代の暗君・暴君―要するに馬鹿殿さま―といわれる燕山君(ヨンサングン)の生母でもあります。彼女は非常に傲慢で浪費家であり、嫉妬深かったと伝えられており、その素行の悪さゆえに夫の国王から毒杯を与えられ、死ぬように命じられたと記録に残っています。
しかし、このドラマはこの女性を〝陰謀によって無実の罪を着せられ、陥れられた〟、つまり悪者に仕立て上げられた悲劇の女性として好意的に描いていました。
韓国史でもこの女性は〝悪女〟というのが定説で、陥れられたと悲劇の女性とするのは、あくまでも傍説、派説にすぎないようです。でも、私は、このドラマを最後まで見て、歴史では悪者とされている人を見方を変えて全く違った角度から描いていることか゜とても印象に残りました。歴史はあくまでも後世に生きる人々が書いた―いわば勝者側から見た歴史ですから、敗者から見れば、また違ってくるのも当たり前。もしかしたら、あるいは、真実は意外なところにある―廃妃ユン氏が陥れられた悲劇の女性であるかも―と無理なく感じさせてくれました。
これはかなり本格的な歴史ドラマですが、現代風にアレンジしたというか、時代劇でありながら現代ドラマに感覚で楽しめるるドラマもたくさんあります。幾つかご紹介しますね。まず、少し前では〝宮(クン)〟。これは韓国で大ヒットした少女マンガが原作で、もし現代まで朝鮮王朝が滅びずに続いていたら、現代の韓国に王室があったらという設定の元に描かれた現代モノです。この路線、つまりコミックタッチで描かれた作品で最近のものは〝タムナ~ラブ・ザ・アイランド~〟。これも確かマンガが原作じゃなかったでしょうか。観光地として今も名高い済州島に流れ着いた外国人を島の海女が助けたという実話に基づいています。都から島に流されてきた流人の両班ヤンバン(貴族)が実は島で行われている不正を暴きにきた暗行御使(アメンオサ、日本でいう隠密)だったりして、なかなかスリリングかつ切ない恋あり、も、の素敵な話です。そうそう、この両班の若者パク・キュを演じた俳優さんは結構イケテましたよ。
更に、その路線の最新作といえば、〝トキメキ成均館(ソンギュンカン)〟。これも元東方神起のユンホが主演し、話題になりました。朝鮮王朝史上、最高教育機関である学校、成均館で繰り広げられる恋物語、ユンホが愛した同級生は実は男装の女の子だったーとかなりドキドキはらはらさせられます。
時代劇をあまり観ないという人は、この辺りから入ってみると、案外すんなりと世界に入れるかも。
私自身、最近は時代劇だけでなく、現代ドラマも見るようになりました。今はテレビで放映されている〝華麗なる遺産〟を見ています。最初は〝どうかしら〟と途中で止めるつもりで見始めたら、何と引き込まれる、引き込まれる! 流石に韓国で高視聴率をたたき出した人気ドラマだけありますね。主人公のソヌ・ファンとコ・ウンソンが最初は反目し合っているのに、次第に互いを意識して惹かれ合ってゆくようになるプロセスも興味深いし、何より、このドラマは〝お金〟とか〝働く〟とかいったことにいつて考えさせてくれました。金儲けのためなら人を陥れるのもためらわないウンソンの継母の姿を見て、もしかしたら自分も状況が変わったら、こんな風に豹変してしまうかもしれない・・・と思ったのは私だけではないと思います。
ただ面白いだけでなく、こんな風に〝何か〟について考えさせてくれるドラマこそ秀作といえましょう。現代ドラマを面白いと思い始めると、それがきっかけで、また次にも、これまで見なかった現代ドラマを見て見ようという気にもなります。韓国ドラマ好きでまだ時代ドラマをご覧になっていない方は、是非、一度、お試し下さい。良い作品にめぐり逢えると、あなたの韓流世界がまだひろがりますよ。
私は目下、朝鮮王朝時代の作品を書いていますが、日本人の私には韓国の風土や習慣は馴染みが薄いです。日本人なら日本の習慣なんてわざわざ倣わなくても、ちゃんと身体に刻み込まれてるもんじゃないですか。韓国の時代ドラマを見るのは、実は娯楽と勉強を兼ねる効果的な方法なんですよ。都の賑わい―人々が露店の立ち並ぶ通りを行き交う光景、両班の屋敷でくりひろげられる人間模様など、本で読むより、映像で見る方がすんなりと頭に入ってきます。いざ自分がその世界や時代を書くとき、そういった頭にストックされた映像が浮かんできて、随分と役に立ってくれます。
吹く風も冷たく、いかにも真冬といった感じになってきました。自然の世界はモノトーン一色ですが、街は色鮮やかなイルミネーションが瞬き、クリスマス前の何とはなしに浮き浮きした雰囲気に包まれていますね。多分、これから十二月に入ってクリスマス直前までくらいが一年でいちばん華やいだ季節なのではないでしょうか?
このブログの〝自己紹介〟にもあるように、私はこれでも(?)物書きと呼ばれることをしています。二年くらいまでは日本の江戸時代を舞台にした時代小説を手がけていましたが、現在は朝鮮王朝時代(韓国)を舞台にした作品を書いています。全く異なるジャンルに飛び込んだそもそものきっかけは、韓流ドラマにハマッたのが高じてしまった―というのが正直なところ。
もちろん私は日本人ですから、日本のドラマも大好きなのですが、韓国のドラマは実によく作り込んであるので、いつしか引き込まれて、その世界にどっぷりと頭まで浸かってしまいます。これはあくまでも私の感想ですが、韓国ドラマって、最初の何回かは割と平坦というか、あまり引き込まれる感じはしません。でも、〝思っていたより、たいしたことないかも〟と失望しかける頃、いきなりドドーンと盛り上がり、後はジェットコースター的にドラマティックに展開してゆきます。とにかく続きが気になって、眼が離せない。逆に言えば、あまりに次々に色んな出来事が起こるので、途中で一回見逃せば、筋が判らなくなってしまう感さえあります。
とにかく視聴者に〝続きが見たい、結末が知りたい〟と思わせる巧みなストーリーの進め方で、物書きのはしくれとしては是非学ばねばならないところでもあるのです。
ところで、このネタを選ぶには少々勇気が必要でした。中高年以上の女性には相変わらず圧倒的なファンを獲得している韓流ドラマではありますが、不特定多数の方々が眼にするブログで、ちょっとオタクっぽいこの話題はどうだろうと自分でも疑問に思ったからです。でも、自分について語るときには、やはり、このネタは外せないと思って書くことにしました。
同じ韓流ドラマ好きといっても、私のように時代劇が好きという方は更に少ないのでは? ホントにちょっとマニアックな話ですよね。でも、もし韓流ドラマをよく見ていて、まだ時代劇は観ていないという方がいたら、騙されたと思って一つだけ見てみて下さい。私のおススメは〝王と私〟。これは、歴史上、悪女だと見なされている国王(成宗王ソンジョンおう)の王妃であった女性を描いた歴史でラマです。名前は尹素花(ユン・ソファ)といい、やはり朝鮮王朝史上、稀代の暗君・暴君―要するに馬鹿殿さま―といわれる燕山君(ヨンサングン)の生母でもあります。彼女は非常に傲慢で浪費家であり、嫉妬深かったと伝えられており、その素行の悪さゆえに夫の国王から毒杯を与えられ、死ぬように命じられたと記録に残っています。
しかし、このドラマはこの女性を〝陰謀によって無実の罪を着せられ、陥れられた〟、つまり悪者に仕立て上げられた悲劇の女性として好意的に描いていました。
韓国史でもこの女性は〝悪女〟というのが定説で、陥れられたと悲劇の女性とするのは、あくまでも傍説、派説にすぎないようです。でも、私は、このドラマを最後まで見て、歴史では悪者とされている人を見方を変えて全く違った角度から描いていることか゜とても印象に残りました。歴史はあくまでも後世に生きる人々が書いた―いわば勝者側から見た歴史ですから、敗者から見れば、また違ってくるのも当たり前。もしかしたら、あるいは、真実は意外なところにある―廃妃ユン氏が陥れられた悲劇の女性であるかも―と無理なく感じさせてくれました。
これはかなり本格的な歴史ドラマですが、現代風にアレンジしたというか、時代劇でありながら現代ドラマに感覚で楽しめるるドラマもたくさんあります。幾つかご紹介しますね。まず、少し前では〝宮(クン)〟。これは韓国で大ヒットした少女マンガが原作で、もし現代まで朝鮮王朝が滅びずに続いていたら、現代の韓国に王室があったらという設定の元に描かれた現代モノです。この路線、つまりコミックタッチで描かれた作品で最近のものは〝タムナ~ラブ・ザ・アイランド~〟。これも確かマンガが原作じゃなかったでしょうか。観光地として今も名高い済州島に流れ着いた外国人を島の海女が助けたという実話に基づいています。都から島に流されてきた流人の両班ヤンバン(貴族)が実は島で行われている不正を暴きにきた暗行御使(アメンオサ、日本でいう隠密)だったりして、なかなかスリリングかつ切ない恋あり、も、の素敵な話です。そうそう、この両班の若者パク・キュを演じた俳優さんは結構イケテましたよ。
更に、その路線の最新作といえば、〝トキメキ成均館(ソンギュンカン)〟。これも元東方神起のユンホが主演し、話題になりました。朝鮮王朝史上、最高教育機関である学校、成均館で繰り広げられる恋物語、ユンホが愛した同級生は実は男装の女の子だったーとかなりドキドキはらはらさせられます。
時代劇をあまり観ないという人は、この辺りから入ってみると、案外すんなりと世界に入れるかも。
私自身、最近は時代劇だけでなく、現代ドラマも見るようになりました。今はテレビで放映されている〝華麗なる遺産〟を見ています。最初は〝どうかしら〟と途中で止めるつもりで見始めたら、何と引き込まれる、引き込まれる! 流石に韓国で高視聴率をたたき出した人気ドラマだけありますね。主人公のソヌ・ファンとコ・ウンソンが最初は反目し合っているのに、次第に互いを意識して惹かれ合ってゆくようになるプロセスも興味深いし、何より、このドラマは〝お金〟とか〝働く〟とかいったことにいつて考えさせてくれました。金儲けのためなら人を陥れるのもためらわないウンソンの継母の姿を見て、もしかしたら自分も状況が変わったら、こんな風に豹変してしまうかもしれない・・・と思ったのは私だけではないと思います。
ただ面白いだけでなく、こんな風に〝何か〟について考えさせてくれるドラマこそ秀作といえましょう。現代ドラマを面白いと思い始めると、それがきっかけで、また次にも、これまで見なかった現代ドラマを見て見ようという気にもなります。韓国ドラマ好きでまだ時代ドラマをご覧になっていない方は、是非、一度、お試し下さい。良い作品にめぐり逢えると、あなたの韓流世界がまだひろがりますよ。
私は目下、朝鮮王朝時代の作品を書いていますが、日本人の私には韓国の風土や習慣は馴染みが薄いです。日本人なら日本の習慣なんてわざわざ倣わなくても、ちゃんと身体に刻み込まれてるもんじゃないですか。韓国の時代ドラマを見るのは、実は娯楽と勉強を兼ねる効果的な方法なんですよ。都の賑わい―人々が露店の立ち並ぶ通りを行き交う光景、両班の屋敷でくりひろげられる人間模様など、本で読むより、映像で見る方がすんなりと頭に入ってきます。いざ自分がその世界や時代を書くとき、そういった頭にストックされた映像が浮かんできて、随分と役に立ってくれます。
作品名:比べて知って楽しい~ドラマに見る東流・日本と韓国の歴史~ 作家名:東 めぐみ