こりゃ・・・恋!?
友人のひとりが手で促すと、店員がやってきた。
「はい。お決まりですか?」
「アイスコーヒー」
「あ、俺 サマージュースね」
「あ、あの……」
(可愛い……この子にこんなこと聞いたら……あ、どうしようかな?)
「えっとアイスミルク・オレ」
(うん、注文だけでいい。出てきたやつを見ればわかるさ)
「では、ご注文を確認致します。アイスコーヒーとサマージュースとアイスミルク・オレですね」
三人がその笑顔に頷いた。
「ねえ、ところでミルク・オレって何?」
友人のひとりが聞いた。
(そ、そんなこと聞くなよ。来ればわかるからさ)
店員の女の子は、崩れない笑顔のまま答えた。
「ミルクの多いカフェ・オレです」
サトルは、少し身を乗り出した。
「珈琲なの?」
なおも店員の女の子は、崩れない笑顔のまま答えた。
「はい。ミルク珈琲?珈琲ミルク?それのミルクの多いものです。あ、ガムシロップはお入れして来て宜しいですか?」
「あ、あはい」
女の子はカウンタに戻って行った。
「サトル。だってよ。おまえが聞かないから聞いてやった」
その後、テーブルに出された飲み物を三人は飲みながら、夏休みに遊ぶ計画を話した。
サトルは、その甘すぎるアイスミルク・オレをずっとストローでかき混ぜながら、あの女の子ばかり見ていた。
サトルのこの夏の『○○・オレ』巡りはこれが最後となった。
この甘さと不思議ネーミングとを想い出に残して……。
――こりゃなんだ!?
サトル、恋の目覚めに戸惑う。