こりゃ・・・恋!?
「カオリ、邪魔しないの」
「だって、なんだかいいんだもん。羨ましい」
「なんで 羨ましいの?僕たちだって」
「しーっ」
「誰に聞こえちゃうんだよ」
「だって、あの時、あんなこと言うんだもん」
サトルは、レストランでの空白の時間を振り返った。
――こりゃ秘密か!
サトル、何があったんだ……。
<キュルルルル・・・(rewind)>
サトルは、テーブル越しに身を乗り出すと小声でカオリに伝えた。
「キスしていい?」
カオリは、フォークでケーキを口に頬張ると、フォークを咥えたまま 小さく頷いた。
レストランを出たふたりは、暫く車で走った。
遊園地の横を通る道はいつになく静かだった。
チェーンの掛かっていない無料の駐車場に車を停めたサトルは穏やかな気分の自分が不思議だった。
自分の部屋で、思い描いていた時は、あれほどどきどきしていたはずなのにと。
もう、気持ちを伝えたからだろうかと考えることもできた。
「カオリ好きだよ」
「うん」
「ずっと仲良くしていたいね」
「うん」
「カオリは?」
「ん…好き」
サトルの顔が近づいて、カオリは目を閉じた。
そして……。
― 了 ―