こりゃ・・・恋!?
大学生のサトルは、まだまだ嗜好がお子ちゃまなのか、ファミリーレストランやチェーン展開している喫茶店が主な立ち寄り先だ。
昨年の夏は、カキ氷を食べ回った。
昨年の冬は、パフェを食べ回った。
そして、今年の夏は『○○・オレ』を飲み回ることを試みた。
『オレ』と聞いて一番に思い浮かぶのは、珈琲とミルクいわゆる牛乳を合わせたカフェ・オレではないだろうか。
バナナ・オレ、いちご・オレ、フルーツ・オレ、紅茶・オレ……とカタカナ表記やひらがなに漢字に『オレ』を付ければどれもが牛乳を合わせた飲み物になる。
ご存知の通り、『オレ"lait" 』は牛乳のことである。
将来、料理人になるわけでも、取材するライター志望でも、読者投稿するわけでもないサトルは、ただそれを注文し飲食する。
だがひとつ、サトルが『オレ』を頼むようになって知ったことは、カフェ・オレには、濃い目に淹れたコーヒーと牛乳を合わせたものとカフェ・ラッテといわれるはエスプレッソとやや薄めた牛乳を合わせ、珈琲を生かしたものとの違いがあることだった。
しかし、専門的な知識はない。少しばかり友人に言いふらす程度の薀蓄ではあった。
いつも同じ注文をするサトルに友人が尋ねたことがあった。
「いつも同じだよな」
「いや、店によって違うんだなーこれが。多店舗ある喫茶店でも微妙に違うし」
「でも、飽きるし、飲みたくない日もあるだろ」
「飲みたくない日は、無理して店に来ないし、行って『何になさいますか?』とか『お決まりですか?』なんて好みの可愛い店員さんに聞かれて、もじもじ迷っていたら恥ずかしいだろ」
「はあ?」
「いつも、これ!って決めておけば、バチッと言えるじゃん」
「なんだそれ?まあいいけど、俺が注文するわけじゃないし…っていうか、同じ店で毎回同じ注文するほうが恥ずかしくないか?」
「ちゃんと季節テーマが決めてある。今シーズンはコレなんだ」
「コレが『オレ』ね。駄洒落か、それ?」
そんな理由が潜んでいたらしい。