こりゃ・・・恋!?
うわの空で講義を終えると、店に戻った。
「いらっしゃいませ。おかえりなさい」
エプロンをつけたカオリが迎えた。
「あ、サトル君だっけ、カオリここを手伝うことになったから宜しくね」
サトルは、カオリにも聞いた。
「そうなの?」
「うん。もともとここで働くつもりだったから」
「あちらは?」
「今月でおしまい」
「最後の日。食べに行くよ」
「ありがとう。待ってる」
リビングのような居心地の店内。
ちょっと変わったおじさんとおばさん。
美味しい料理と変わったメニュー。
「おかえりなさい」と「いってらっしゃい」の挨拶。
親元を離れ、狭いアパートに住むサトルにとって家庭を味わえる気がした。
そして何よりカオリと居る空間はサトルには柔らかな安らぎを感じる場所となった。
サトルは、めいっぱい思った。
――こりゃいいや!
サトル、まだ始まったばかり。