箱篋幽明
箱書
「テーマは食・箱・ホラーです」
「よくわからん」
「真珠のばあさんが言っているように、教室も電車もビルも箱なんですよ」
「豆乳バニラアイス味はどうした?」
「あれはパックジュースですから」
「上手くこじつけたとか思ってんなよ」
「ついでに弁当も箱ですよ」
「境界のホラーが好きで、そういうのを書きたかったんですけど」
「その境界を今回は「箱」に置き換えたってことか」
「それに「箱」って儀式的じゃありません?」
「まあわからんが」
「それにしても、ガンつけてくる女幽霊の話ばっかだな」
「男の幽霊ってあんま怖くないんですよ。独り暮らしの女性とかは男って生きてる人でも怖いでしょ? なんか、「得体が知れなくて怖い」じゃなくて現実的に怖いって要素が入っちゃうんですよ、襲い掛かられたらどうしようとか」
「まあ、なるほど」
「女って非力なんで、女が幽霊だとわかりやすく「怖い」んですよ。多分」
「そこ自信ねーのか!」
2012.08. 塩出 快