ぼくらはみんな生きている
いつからか森の中に現れた「月」のような大きなな建造物。これが一体何なのかを森の動物たちはしらない。大きな地震の後に、その「月」の中では火事が起きていた。その炎を鎮めようと「月」の中の生き物達が慌てている。しかし、その炎は鎮まることはなかった。徐々にその「月」の内部を灼き尽くし、やがては「月」の壁を突き破って外に吹き出す。その炎はゆっくりと森に近づき、動物たちを飲み込んでゆく。その炎が周囲の森を犯すのに要した時間は2日間。風のような素早さだ。動物たちは逃げる素振りすら見せず、誰も悲鳴を上げたりはしなかった。
一羽の鳥さえも。
作品名:ぼくらはみんな生きている 作家名:夢眠羽羽