ISSIYASU 前編
その理不尽な一言で俺の財布は限りなく軽くなってしまった。
そんな購買の帰り道。
【??? ※九条】「う~ん菓子パンがあればよかったんだけどなぁ」
【??? ※葉月】「もう……クラブの時にそんなのたべちゃだめですよ」
【??? ※九条】「そっか。ざんねん」
姉妹のような二人組は俺に気づくと、
※葉月、登場
※葉月、笑顔
【葉月】「わあ、先輩じゃないですか」
相変わらず手に本を持った葉月が俺に話しかけてきた。
ゴム状の物質の旅というタイトルだった。
【磐手】「あれ? 葉月ちゃんも教室に帰るところなの?」
【葉月】「はい。そうですよ」
※九条、登場
※九条、怒り
【九条】「もう……たっくん。私を無視しないでよ」
【磐手】「ああごめんごめん。葵はなにを買ってきたんだ?」
【葉月】「チィッ」
……?
なぜだろう。一瞬悪寒を感じたんだが……。
※葉月、困り
【九条】「たっくんどうしたの……?」
【葉月】「先輩?」
【磐手】「今何か感じなかったか?」
※伊吹、軽蔑
【伊吹】「あんた、何言ってるの?」
誰も何も感じなかったらしい。
【小鳩】「あらあら、皆さんこんな所にいらっしゃったんですか~」
※小鳩、登場
※小鳩、普通
皆に存在を忘れられていた小鳩さんが現れた。
【小鳩】「初めまして、皆さん」
小鳩さんは後輩の葉月にすら丁寧な物言いで接していた。
初対面の二人に挨拶した小鳩さんは頬を赤くととんでもないことを聞いてきた。
【小鳩】「どちらの方が磐手さんの彼女なのですか?」
【小鳩】「磐手さんにも彼女ですか~」
※小鳩、恍惚
【葉月】「クスッ。先輩はどうですか?」
普段は見せない妖艶さを見せつけられた俺は戸惑いつつも
【磐手】「そういうお前はどうなんだよ」
【葉月】「んー」
【葉月】「でもそうですね……一緒にいると楽しいですよ」
【葉月】「それこそ離したくなくなる程に」
【磐手】「そんなに誉められると」
ちょっとばかり悦に浸っていると、
【伊吹】「鼻の下伸ばすんじゃないわよ気持ち悪い」
すぐさま伊吹に鼻をへし折られてしまった。
【九条】「たっくん。たっくん」
【九条】「彼女さんだって。ポッ」
※九条、照れ
非常に間を置いてから九条は反応した。
【磐手】「あー、嬉しいか?」
【九条】「うん」
こいつの中ではさっきの会話は無かったことになってるらしい。
つくづく都合のいい奴だ
そう考えつつもまんざらでは無い俺だった。
※画面、横ワイプ
#ENDIF
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;分岐1_2:見なかったことにする
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俺は見なかった事にした。
1限目は何だったかな……?
※画面、横ワイプ
※小鳩、登場
※小鳩、通常
【小鳩】「おはようございます~」
小鳩さんが登校してきた。
【伊吹】「小鳩ー。おはよー」
伊吹もいつもどうりに戻っていた。
※画面、横ワイプ
#GOTO シーン3_分岐1_X
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;分岐1_X
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■BG0005:教室
【磐手】「ああ、俺も恋したい」
※伊吹、驚き
【伊吹】「なに突然言い出してんのよ」
【小鳩】「ふふっ」
【小鳩】「そうだ小鳩さん、俺と付き合ってくれませんか?」
※小鳩、笑顔
【小鳩】「イヤです」
※伊吹、軽蔑
【伊吹】「ばっかじゃないの」
※小鳩、通常
【小鳩】「私はイヤですけど、その願い叶うかもしれませんよ」
【小鳩】「えっ……?」
【小鳩】「風のウワサに聞いたのですが、恋が叶うと噂の神社という所があるそうですよ~」
■BG0011:境内
恋が叶うと噂の神社
それはかなり近くにあった。
ここだったのか。
幼い頃によく遊んだ裏山。
その懐かしい空気を吸いながら、俺は神社へと繋がる階段を登りはじめた。
※画面、横ワイプ
土台だけしかない鳥居に崩れかかった拝殿。
一見しただけで長い間人の手が入っていないことが分かった。
【磐手】「小鳩さんに引っかけられたかな……」
一瞬そんなことも考えたりもしたが、ここまで来てUターンするのもどうかと考えた俺は一応参って帰ることにした。
※画面、バン
崩れかけた幣殿の賽銭箱に少し放り込むと、作法どうりに参った。
【磐手】「彼女ができますよーに」
※画面、暗転
■BG0003:森の中
【??? ※安芸】「このあんちゃんは彼女欲しいんかいな」
その事を確認するとウチは早速準備に取り掛かった。
作品名:ISSIYASU 前編 作家名:なお