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超短編小説  108物語集(継続中)

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「いらっしゃ〜ぃ、そこのお兄さん、今日は新鮮だよ! やっと世に出たミステリー、現代夢幻物語というお魚だ! ノルウェイとはちと違う、不思議な味だよ。さあお兄さん、ワンコインで一匹どうだい?」

 たまの休日、高見沢一郎は遅めの昼食を取ろうと、アパートから一駅向こうの商店街に出掛けてきた。そしてこんな威勢のよいかけ声で、店の前に立つオカンから呼び止められた。そのお母さんは前掛けをし、鉢巻きまでしている。まったく奇妙な光景だ。

 高見沢は目を白黒させながら首を傾げる。なぜならそこは魚屋ではなく、アーケード内にある本屋さんだったのだ。
 看板を見ると、ズバリ『さかなや書店』とある。

 平置きにされた様々な文庫本や単行本、店先へとはみ出し、それらはまるで魚屋に陳列された鮮魚と変わりはない。