超短編小説 108物語集(継続中)
この大発見から半年が経過、湖岸の桜が咲き誇ってる。
そんな日に蒼斗はボートを操縦し、湖底の巨大卵の確認にやって来た。
一体あれは何?
疑問は膨らむばかり。いつものように水中へと視線を送る。
だが今日は違った。どんどんと泡が吹き上がってくる。
何?
さらに覗き込むといきなり潜水艇が浮上。それからピットが開き、出てきた水兵さんが蒼斗に格好良く敬礼。
「女王様からのお言葉です。あなたの一途さが気に入りました。我が宇宙移動竜宮城に招待したい、なぜならここに100年滞在しました。されどもそろそろお暇の時期。そこで我がDNAを地球に残すため、君に良い嫁御を紹介したい。そう仰られてます」
こう述べ、手を差し伸ばしてきた。
「えっ、星から星へと移動する、竜宮城」と蒼斗は目を丸くし、「その上に、妻を、って」と呟き、あとは絶句。
どうしようかな、…、ここは隊長に相談するしかない。
「卵は宇宙移動竜宮城でした、それに嫁さんを紹介してくれるらしいです」とライン。
すると隊長から「時空を超える竜宮城だったのか、蒼斗、行ってこい、まさにこれぞ湖底トレジャーハンティングの醍醐味じゃ!」と返ってきた。
そしてすぐさま追伸あり、――「私への金銀財宝の土産、忘れるなよ!」と、さ。
作品名:超短編小説 108物語集(継続中) 作家名:鮎風 遊