超短編小説 108物語集(継続中)
なんじゃ、これ?
私は今までメモ帳を使ったことがありません。
それにしてもこの上から目線、とカッとなり書き込みました、「このクソ野郎、お前は一体誰だ?」と。
すると直ぐに返答があったのです、「俺はお前だよ」と。
私はもうこの事態がさっぱり何なのかわかりません。
だけどここは心を落ち着かせ、「お前は俺ということか?」と再確認のメモ書きをしてみました。すると即座に、「ああ、ご名答ぞ、俺はスマホに住むもう一人のお前だよ」と。
さらにですよ、「カメラの金は、心配するな、お前の口座から引き落とされることになってるから。要はお前と俺は同一人物、ということはお前の金は俺の金ってこと、だ!」と追記がありました。
これぞ怒髪天を突く、「スマホ在住の詐欺野郎!」と私は返してやりました。
されどもですよ、目出度くこれまでの誤作動の謎が解けました。
こいつがスマホ内で勝手気ままに遊んでいたせいでした。
むかっ腹が立ちましたが、だけど心境は結構複雑。
なぜならもう一人の自分がスマホ内に住んでいたからです。
まっ、これも何かの縁、怒りを静め、これを機に、大袈裟ですがコイツと共に生きて行くことにしたのです。
作品名:超短編小説 108物語集(継続中) 作家名:鮎風 遊