超短編小説 108物語集(継続中)
数時間後やっとお開きに。
そして「貴君たちの人生が潤うよう、球体一体ずつお持ち帰りください」と。
この薦めに私がポカンとしていると、機長は「直樹君は勤務態度がタラタラですね、だから球体『弾けて、課長、どこ行った』をどうぞ」と仰られました。
課長なんて嫌だ、されど無碍に断るのも失礼、ここは喜んでと頭を下げました。
そんな時、浩二は「俺には、そう、ダサオが持ち帰ったと思われる、『弾けて、お姉さん、どこ行った』をお願いします」と申し出たのです。
これに機長はきりりと恐い顔となり、「君は未だに無職、強い指導が必要です。よって『弾けて、おとん、どこ行った』にします。さもなくば強制連行で、宇宙生物職業訓練所へと送ります」と。
これに浩二は「おとんで、ヨロチク」と無念の涙が一筋…、てな具合でした。
部屋へと連れ帰った球体ですが、いつもフワリフワリと浮遊していました。
だけど私の起床とともにパチンと弾け、ちっちゃな人型生物『弾けて、課長、どこ行った』が現れました。
あとは、挨拶は大きな声で、会議では3回以上発言せよ、有り難うを忘れるな等々の日替わり出勤前指導、実に鬱陶しい。
だけど不思議です、守ってみると、業務評価は徐々に上がり、結果は昇格昇給。
ヨッシャ、このままずっと一緒に暮らして行こうと決断した朝のことでした、大きくパッチンと弾け、課長はどこかへ消えて行ってしまいました。
浩二に連絡すると、おとんも消えた、だが定職に就けたとか。
という顛末でしたが、私は叫びたいです、世間では未確認のエイリアン『弾けて、ヤツは、どこ行った』に愛を込めて――、また会おうぜ!
作品名:超短編小説 108物語集(継続中) 作家名:鮎風 遊