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超短編小説  108物語集(継続中)

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 寛太は卒業後、倉庫管理会社に就職。その真面目な勤務が評価され大きな倉庫一つを任されるようになったとか。
 そして日々の入出庫と在庫管理に追われていたある日のこと、片隅に放置されてる1枚の黒板を見付けた。大きさは畳半分くらい、それほど大きくはない。ただ上部に――妖怪児童の黒板――と銘打たれていた。

 妖怪児童の黒板?
 寛太は急に興味が湧き、何気なく白墨を取り、犬の絵を描いた。すると子犬が黒板から突然現れ出て来たのだ。ここで寛太は気付いた、この黒板に描いた生き物は黒板から飛び出し、現実のものになると。
 しかし、キャンキャンと五月蝿い。寛太がさっと絵を消すと、犬も同時に消えた。

 されどこれは実に便利だ!
 仕事に追われるだけの毎日、彼女がいない。そこでタイプの、ちょっとオッパイ大きめのレディーを白墨で微細に描いた。すろとどうだろうか、それはそれはセクシーな女性が現れ出て来たのだ。
 これは人生最大のウハウハな出来事。歓喜昇天、寛太はこの女性に結婚を前提として向き合う。だが世の中にはそううまい話しは転がっていない。このレディは妖怪児童の黒板の産物そのもの。DNAはやまんば系で、今にも首を絞めて来そうなそれはそれは恐ろしい女だったのだ。

 寛太は夢破れ、この肉付き女子を消し去り、次に描いたのは、少年時代の夢、奉公人の今となっても夢追い続けてる恐竜ティラノサウルス。そやつがまさに小さな黒板から現れ出て来て、倉庫内でガガガッと10m級に肥大化したのだ。