超短編小説 108物語集(継続中)
古びたビルの屋上から男がぶらりと吊るされ死んでいた。
第一発見者は向かいの高級ホテルの警備員、早朝の点検時にだ。
そこから緊急連絡が入り、百目鬼刑事と部下の芹凛(せりりん)こと芹川凛子刑事が現場へと駆け付けた。
その後すぐに鑑識班も到着し、衆目に晒された首吊り死体は引き上げられ、検死作業が行われた。結果、屋上で撲殺され、その後首にロープが巻かれ、闇へと放り投げられた、そんな殺人事件だと結論された。
そして仰天。
被害者は正義のカメラマンと勇名を馳せる神馬一騎だった。事実この男の特ダネにより、名前通り孤軍奮闘で俗界の数々の悪事が暴かれてきた。
昨夜も獲物を狙っていたのだろう。立ち入り禁止スペースに超望遠レンズ装着の高性能カメラが転がっていた。これは証拠品、もちろん内臓画像は詳細に解析された。
そしてそこに映っていたもの、驚愕だった!
それは飛ぶ鳥をも落とす勢いのある大物議員Fとトップ女優Kの密会現場だった。
作品名:超短編小説 108物語集(継続中) 作家名:鮎風 遊