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超短編小説  108物語集(継続中)

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 晴天の朝だった。勝海舟が龍馬に声をかける。
「さあ、長崎へと出立だ」
「はい、先生、先を急ぎましょう」
 この二人には使命感が溢れていた。

 文久四年二月十六日の朝、こうして坂本龍馬は未来へのさらなる一歩を確実に踏み出した。そして佐賀関街道から肥後街道へと駆け抜けていった。
 その姿には、龍馬のその後の運命、寺田屋で深傷を負い、おりょうと霧島で遊ぶこと。
 そして三十二歳の誕生日に、京の近江屋で刺客に襲われ、無念の中で絶命すること。
 これらの予兆は微塵もなかったのだった。