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超短編小説  108物語集(継続中)

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 年を重ねてからの一念発起、そこから1年が経った。練習量だけは誰にも負けてない。
 しかし判明した、指の凝結は脳の固化より進行が早いと。すなわち音譜は読めるが、指が動かない。つまり弾けないのだ。
 夕飯を終え、今夜も…タカタカ、タカタカ、チャンチャンとラスゲアード奏法の練習。

「アナタ、トップスターが出演中よ。テレビ観てる時に、その気色悪いリズムで弾かないで、吐きそう」
 夏子は怒り、その後冬子に変身し、「フラメンコ・ギター、生意気ね。元々才能なんてないのに、20歳の時に置いてきたからと言って、今さらやってみたところで、絶対に弾けないわよ」とボロンチョン。

 一郎はムカッときて、ジャカジャカと指を激しく走らせる。
 それを見ていた二郎が「おっ、カッカして弾いた方が良いぜ、まっ頑張れや。俺は小説を続ける、もし気が変わったら、また一緒に」とニッと笑い、「だけどなあ、人生……時間切れかもな」と捨てゼリフを吐いて消えて行った。