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超短編小説  108物語集(継続中)

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 だけど知らなかった。6ヶ月前に少女が公園からこつ然と消えた。
 神隠しだと噂が立ったが、警察はもちろん誘拐事件としてしつこく捜査を続けていた…とのことです。

 一方私は、少女が壁の穴から突然現れ出て来ました。そして母親の所に帰りたいと言うので連れて来ました、と。
 こんな話し誰も信用してくれませんよね。それでも刑事は私の部屋に穴があるかどうか確認してくれたようです。
 だがすでに消えてしまっていました。

 ああ、嫌疑は晴れない、絶対絶命だ!
 だが待てよ、確か不動産屋のお兄さんが言っていた、時々ズルッとスリップさせてもらっていると。
「穴吹時津風君、助けてチョンマゲ!」
 私は白い壁に向かって大声で叫びました。
 するとどうでしょうか、直径80センチの穴が監獄の壁に貼り付いたのです。

 今のサラリーマンの栄光を捨て、時間の違う世界へとズルッとスリップするぞ!

 さぁて、読者のみな様の過去、あるいは未来のある日、穴吹時津風君があなたの部屋の壁に貼り付い時、私が飛び出しますから……、その時はよろしくお願いします。