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超短編小説  108物語集(継続中)

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 奇人増殖中の次の事例、近頃隣のオヤジがちょっと変!
 退職後小説を書いていると聞いていたが、最近そそくさと朝早くからカメラと三脚担いでどこかへ出掛けて行く。

 だいたい引きこもりのはずだった。だが何てこった。町内会主催の公園掃除にも出て来ないオヤジが急にマメになって、突然変異でもしたのだろうか?
 その裏付けとして、染色体が変わってしまったオヤジを達也は目撃した。それは近場の川縁をウォーキングしている時だった。あのオタク老人がカメラを覗き込んでいるではないか。それにしても真剣そのもの。鬼気迫る様相で声も掛けられない。

 一体オヤジが狙ってる被写体は何なのだろうか?
 達也は興味が湧き、レンズの先を確認し納得できた。それはコバルトブルーの美しい鳥、そう、男なら誰しも自分のカメラに一度は収めたいカワセミだ。達也のテンションは上がり、「お隣のご主人、撮られた写真、ちょっと見せてくださいよ」と声を掛けた。

 このいきなりの要望に、オヤジは目玉をギョロッと剥いて、「ああ、達也さん、ここじゃなくって、ハッシュ・カワセミで覗きに来てください。くれぐれも、いいね! をよろしく」と宣われた。