超短編小説 108物語集(継続中)
意到筆随の壺、今デスク上に鎮座する。角蔵はこれを前にして、先日の体験をネタにして、秘宝・意到筆随の壺という物語を書き終えた。そして読み直す。
うーん、どことなく書けない病からは抜け出せたような気がする。が、意到筆随とは言い難しだ。果たして三万円の壺のご利益はあったのだろうか? と首を傾げる。
その時だった、角蔵の目の前にピカッと閃光が走る。なぜなら、ハタと気付いてしまったからだ。
そう、山爺と山姥が焼く壺は連中の金銭欲だけのための、ひょっとして――秘宝『思う壺』だったのでは、と。
作品名:超短編小説 108物語集(継続中) 作家名:鮎風 遊