超短編小説 108物語集(継続中)
あの頃、真衣は確かにこの世には存在しなかった。
しかし、あの女性は……時空を超えた、今ある孫の真衣だったのではないかと。
「グランパ、元気だった? 私、今、プラットホームで若い頃のグランパのような人に励まされて、毎日元気に会社行ってるよ」
真衣はそんなことを楽しそうに話す。そして、あの時の彼女とまったく同じように微笑んでくれた。
年老いた愼一と若い真衣、時を超えて二人は再会した。それをまるで祝福するかのように、桜の花びらがひらひらと舞い落ちるのだった
作品名:超短編小説 108物語集(継続中) 作家名:鮎風 遊