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超短編小説  108物語集(継続中)

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 夜は明け、白装束の女が滝壺に浮かんだ。

 急遽現場に入った百目鬼刑事と部下の芹凛(せりりん)こと芹川凛子刑事、幻妖な空気を感じながら検証を終えた。仏は魔寿屋の三女の姿月、滝の上で絞殺され、落とされたものと判明した。

「この事件は、どうも妖怪祭りを世俗的に推進しようとする町長と、一服山の妖怪たちを守ろうとする魔寿屋との確執、それが原因では」
 百目鬼のこの呟きに、芹凛が「魔物と親戚なんでしょ、きっと勘は当たってるわ」と頷き、あとをボソボソと続ける。

「姿月は町長主催の下等な妖怪祭りを阻止するため、言い争って、誰かに己を殺させる。つまり推進派を殺人者に仕立て上げることを目論んだのよ。もしそうなら、その不名誉が一番効くのは町長一族よ、だから町長の息子あたりが、罠に嵌められたかもね」

 この推理を聞いた百目鬼、「姿月は綺麗な身体を犠牲として捧げた。ならば彼女からの最後の伝言、すなわち殺害される時の携帯動画とか、ICレコーダーとかを…」と鬼の目をギロリと剥いた。
「きっとどこかに残してるはずね、証拠となるブツ、絶対見付けてやるわ!」と、芹凛は滝の上へと飛ぶ。

 その姿はまるで女天狗のようだった。