超短編小説 108物語集(継続中)
給与はそこそこ、福利厚生はまあまあ。サービス残業はなく、やりがいが持てる成長企業。こんな記事がリクルート誌に載っていた。
俺は、人生を賭ける会社はここだと確信し、入社試験を受けた。そして運良く合格。ホント嬉しかったぜ。
ところがだ、これがとんでもない会社だったんだよ。
社是は『人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり』。これってパクリだろ。だけどなんとなく、何が何でも組織はこうあるべき、てな思いが伝わってくる。
されどもだ、実態は真逆。『情けは無用、仇は活力』、こちらの方が似合ってるぜ。
てなてな具合で、当然社員の素行は、他人の成果は奪い取り、己の失敗は他人に押し付ける、となるよな。そのせいか職場には、罠、罠…、罠だらけなんだよ。だから毎日のお勤めは気が抜けないぜ。
作品名:超短編小説 108物語集(継続中) 作家名:鮎風 遊