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超短編小説  108物語集(継続中)

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 聞き込みから戻った芹凛、デスクでボーと天井を見詰める百目鬼に「今日も成果なしです」と報告する。「ご苦労さん」と百目鬼は一言だけ返す。

 このレスにムカッと来た芹凛、だがそれを無視して百目鬼が…。
「現場に現金と高価な人形が残されていたな。これらを軸に、社長が公園に出掛けなければならなかった理由、それをもう一度推理してくれ」

 疲れてるのに、追い打ちを掛ける要求、このくそオヤジがと思ったが…、それにしても人形? あらためて考えてみれば可笑しな話しだ。芹凛は今までの思考を整理をする。
 そして15分後、芹凛が「コーヒーでも?」と訊く。百目鬼はわかってる、芹凛がストーリーを組み立て終えたのだと。

 間もなくカップが差し出され、百目鬼が「さっ、話してくれ」と目で合図を飛ばすと、芹凛が滔々と語り始める。その要点とは。

 桐坂の孫娘、藍月は誘拐された。警察に通報すると孫を殺すぞと脅され、犯人の指図通り、桐坂一人で身代金と孫が喜ぶ人形を持って公園へと出掛けて行った。

 しかし、誘拐は藍月の母、紫月の狂言。その深意は暴風雨の中桐坂を一人にさせるため。桐坂はこの罠にまんまと嵌まり、計画通り刺し殺された。
 桐坂家の嫁、紫月は御狩場(みかりば)の女一族の娘。血肉(けつにく)に母の朱月と妹の幽月がいる。

 目的は桐坂家の乗っ取り。そのために紫月が計画し、朱月が孫を預かり、幽月が桐坂を刺す。このような御狩場の血の結託よる犯行。
 もちろん次に狙われるのは紫月の夫となる。