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超短編小説  108物語集(継続中)

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 こうして百目鬼と芹凛は3日間徹底的に聞き込みを行い、今デスクで向き合ってる。だが芹凛はこの間が辛抱できず立ち上がり、マグカップにコーヒーを注ぐ。そして百目鬼に差し出す。
 百目鬼はわかってる。こんな時、芹凛は自分の推理を披露したくて堪らないのだ。その鬱屈を解き放ってやるかのように、「話してみろ」と。すると堰を切ったかのように、芹凛の主張がほとばしる。

 このビルのメンテ会社、つまりエレベーター保全業務をしている黒界(くろかい)という男がいます。彼は花形の高校の同級生、学業はトップクラスでした。
 しかし貧乏で進学できませんでした。

 そんな黒界がある日見掛けたのです、流暢な英語で外人ビジネスマンと会話し、颯爽と歩く花形を。「ヨッ、頑張ってるね」と声を掛けますと、花形に「Keep a distance from me!」と怒鳴られました。

 しかし、黒界と同じ社員でも嫁姫沙耶(よめひめさな)は違いました。いつも笑顔で、黒界にご苦労様と声を掛けてくれました。
 そしてある日、嫁姫から話しを聞いて欲しいと誘いがあり、会ってみますと、涙ながらに訴えるじゃありませんか。

 恋人だった花形を、彼が出世できるように、今まで一所懸命サポートしてきたのに、花形はその強い上昇志向で、経営に近い秘書、青夜恋夢(あおやれんむ)に乗り換え、私は捨てられました。
 さらに、あなたは花形に嫉妬してるでしょ、私は青夜にひどく嫉妬。
 あ〜あ、この憂鬱から解放されたい、だから、二人に鉄槌を下しましょう、と。

 こんな合意で、あの夜遅く、エレベーターのプロの黒界はまず防犯カメラをオフにしました。それから黒界と嫁姫は15階のオフィスに居残る花形と青夜を殺害。
 そしてエレベーターの認証テンキーを操作し、普段通過のF機を15階で停止させ、花形と青夜が15階とは無関係な階で殺し合ったように、F機内に偽装したのです。