超短編小説 108物語集(継続中)
天正10年(1582年)6月2日の未明、本能寺の変は起こった。轟々と燃え盛る炎の中で織田信長は自害したと言われている。
しかし、明智光秀は燻(くすぶ)る焼け跡でくまなく遺骨を探した。されど見つからなかった。
謀反を起こした光秀にとって、信長に代わり天下を取ることが第一義。このままここに留まってるわけにはいかない。この後光秀は電光石火に京を治め、残党を追捕し、近江平定を行った。
そして6月5日には安土城へと入城し、7日に朝廷の勅使から祝辞を受けた。これで一段落、光秀は翌日坂本城へと戻った。
それにしても、心奥(しんおう)に一つの事が引っ掛かってる。
まことに奇怪だ!
本能寺の変、紅蓮(ぐれん)の炎の中で、確かに信長は天魔の野望とともに命を絶った。そして灰になった。
されども、微かとは言え、信長の骨は……?
作品名:超短編小説 108物語集(継続中) 作家名:鮎風 遊