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超短編小説  108物語集(継続中)

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 しかし、降り立ったフロアーはいつもと雰囲気が違う。ボンヤリと薄暗く、甘い香りがする。駿が訝しがってると、横の縞男が「お一人様、お連れしました!」と奥に向かって声を上げるじゃないか。
「お前は店側の人間だったのか」と駿が口を尖らせると、同じ模様のヤツが現れて、「同志に、健やかな進化を」と意味不明なことを宣う。それでも駿はこの男の案内で、カプセルへと進んだ。

 しかし、入り口が普段と違う。四角形でなく六角形。そう、そこに並んでいたのはハニカム構造のカプセルだったのだ。この不思議な光景に、目を白黒させる駿。息つく間もなく、「早く成長するんだぞ」と黄黒男に中へと押し込まれ、バシャッと乳白色の板で蓋されてしまった。

 内部は完璧に密室。「俺は蜂の幼虫か!」と唸る駿に、さすが六角形構造、カプセルの周りに六つの隣室がある。
 まず右上のお隣さんから「ここは快適空間だよ」と慰めがあり、左下から「使命は女王蜂さまへのご奉仕」と通告され、最後は上から「高等生物、人面蜂へと進化するんだよ」と励ましがあった。

 それにしても……、人面蜂って?
 よく理解できないが、どうも男が捺したボタンの5、2、8で、時空の壁を突き抜けて、奇妙な世界へ迷い込んでしまったようだ。そこで駿はハッと気付く、あれは「Go to 蜂界」だったのだと。